グローバル化が加速する現代ビジネスにおいて、英語でのコミュニケーション能力、特にスピーキング力は、単なるスキルではなく、キャリアを左右する重要な要素となっています。読み書きの能力だけでは不十分であり、瞬時に自分の意見を伝え、交渉し、関係を構築できる実践的なスピーキング力が求められています。
本記事では、ビジネスパーソンが自身の英語スピーキング力を客観的に測定し、効果的に向上させるために活用できる主要な英語スピーキングテスト、「Versant」「TSST」「PROGOS」「TOEIC S&W」の4種類を徹底的に比較解説します。各テストの特徴、評価基準、費用、そして効果的な対策法までを網羅し、読者が自身の目的や状況に最適なテストを見つけ、ビジネスでの成功へと繋げるための具体的な指針を提供します。
英語スピーキングテストの重要性：なぜ今、ビジネスパーソンに必要か？
今日のビジネス環境では、英語はもはや「できれば良い」スキルではなく、「できて当然」の必須ツールへと変化しています。特に、グローバルな舞台で活躍を目指すビジネスパーソンにとって、スピーキング力はキャリアアップやビジネスチャンスの獲得に直結します。
グローバルビジネスにおけるスピーキング力の価値
国際的なビジネスシーンでは、会議での議論、顧客との商談、海外パートナーとの交渉など、多岐にわたる場面で英語での発話が求められます。従来のペーパーテストで高得点を取得していても、実際に英語を話すことに苦手意識を持つ日本人が多いという課題が指摘されています。このような状況に対し、TSSTは「その場で」「とっさに」英語で考えを伝えられる「英語運用能力」を測定する目的で開発されました 。PROGOSもまた、「仕事で使える」英語スピーキング力を測定し、社員や生徒の英語力の現状を可視化することを目的としています 。
これらのテストの登場と普及は、ビジネス界が受動的な英語力（リスニング、リーディング）だけでなく、能動的な英語力（スピーキング、ライティング）を強く求めていることの表れです。企業は、従業員が実際に英語を使ってコミュニケーションできる能力を重視しており、その能力を客観的に評価するためのツールとして、これらのスピーキングテストが活用されています。
海外出張・赴任で求められる英語力
多くの企業では、従業員の昇進や海外派遣、グローバルポジションへの採用において、英語スピーキングテストのスコアを具体的な基準として採用しています。例えば、Versantは多国籍企業や外資系企業の中途採用プロセスや、グローバル企業の昇進試験、海外派遣候補者の選定に導入されています 。JT、セブン-イレブン・ジャパン、楽天などの国内大手企業も昇進基準としてVersantを採用しており、海外赴任には47点以上、ビジネスでやり取りできるレベルには53点以上が目安とされています 。
TOEIC S&Wもまた、双日株式会社や富士通株式会社などで海外出張や海外赴任の目安として活用されており、具体的な社内基準スコアが設定されています 。これらの事実は、英語スピーキングテストが単なる自己学習の指標に留まらず、企業のグローバル戦略における人材評価の重要なツールとして確立されていることを示しています。企業が明確なスコア基準を設けることで、従業員は自身のキャリアパスと英語学習の目標をより具体的に設定できるようになります。
主要英語スピーキングテスト4種を徹底比較！
ビジネスパーソンが英語スピーキングテストを選ぶ際、その目的や現在の英語力、ライフスタイルに合わせた最適な選択が重要です。ここでは、主要な4つのテストの概要を比較し、それぞれの特徴を深掘りします。
比較表：Versant, TSST, PROGOS, TOEIC S&W 概要
以下の表は、各テストの基本的な情報を一目で比較できるようまとめたものです。
| テスト名 | 試験時間 | 受験形式 | 採点方法 | 受験料 (税込) | CEFR目安 | 結果返却時間 |
| Versant | 約20分 | オンライン（スマホ・PC） | AI自動採点 | 5,500円 / 7,700円 | A1〜C2 | 即座 |
| TSST | 約15分 | 電話 | 認定採点者 (人間) | 8,800円（個人） / 7,700円（法人） | A1〜C2 | 試験日17日後 |
| PROGOS | 約20分 | オンライン（PC, スマホ, タブレット） | AI自動採点 | 550円 (アプリ版は無料受験可) | Pre-A1〜B2 High and above | 最短2〜3分 |
| TOEIC S&W | S:約20分 / W:約60分 (計約80分) | テストセンターでのPC受験 | 訓練されたヒューマンレーター (人間) | 10,450円 | A1〜C1 | 通常約30日後 |
各テストの目的と対象者
各テストは、それぞれ異なる目的と対象者層を持っています。Versantは、グローバル企業や政府機関で採用実績が多数あり、中途採用や昇進、海外派遣候補者の選定など、ビジネスにおける実践的な英語力を測定することに特化しています 。転職を考えているビジネスパーソンにも適しています 。
TSSTは、紙のテストでは高得点でも、話すことに課題を感じる日本人学習者のために、「とっさに英語を話す力」を測ることに重点を置いています 。企業や学校での導入も多く、研修効果測定や社内テスト、海外赴任選考などに活用されています 。
PROGOSは、「仕事で使える」英語スピーキング力をリーズナブルな価格で手軽に測定できることを目的としています 。企業や教育機関でのグローバル人材育成の評価基準として導入が進んでおり、アマゾンジャパンの新卒採用にも活用されています 。個人でもアプリで気軽に受験できるため、定期的な実力把握に適しています 。
TOEIC S&Wは、国際的な職場環境で効果的に英語でコミュニケーションする能力を測定します 。ビジネスシーンだけでなく、日常生活にも適用可能な英語力を評価し、大学の入学試験や単位認定にも利用されるなど、より広範な目的で活用されています 。
これらのテストの目的と対象者の違いを理解することは、自身の学習目標とキャリアプランに合致するテストを選ぶ上で非常に重要です。特に、VersantとPROGOSはビジネスでの即戦力を重視する傾向が強く、AI採点による迅速なフィードバックが特徴です。一方、TSSTは日本人の特性に合わせた実践力測定に焦点を当て、TOEIC S&Wはより公式なビジネス英語能力の総合的な評価を目指していると言えます。
受験形式と手軽さの比較
テストの受験形式は、多忙なビジネスパーソンにとって重要な選択基準となります。VersantはスマートフォンやPCから24時間365日いつでも受験できるため、場所や時間の制約が少ない点が大きな利点です 。ただし、PC受験の場合は有線マイク付きヘッドセットが必要であり、内蔵マイクやワイヤレスマイクは使用できません 。スマートフォンでの受験はスピーキングテストのみが可能です 。
TSSTも電話を利用した自動出題形式で、日本国内であればどこからでも24時間受験可能です 。アプリのインストールなどの事前準備が不要なため、非常に手軽に受験できると評価されています 。
PROGOSもPC、スマートフォン、タブレットからオンラインで受験でき、約20分で完了します 。特に、スマートフォンアプリ版では1日1回無料で受験できるため、気軽に何度も実力を試せる点が大きな魅力です 。
これら3つのテストがオンラインまたは電話で「いつでも、どこでも」受験できる利便性を追求しているのに対し、TOEIC S&WはテストセンターでのPC受験が必須です 。これにより、受験場所や日時が限定され、他のテストに比べて手軽さは劣ります。しかし、その分、厳格に管理された環境下での公平なテストが保証されるという側面もあります。利便性を重視するならVersant、TSST、PROGOSが、より公式で統制された環境での受験を求めるならTOEIC S&Wが選択肢となるでしょう。
採点方法と評価の客観性
採点方法は、テスト結果の客観性やフィードバックの質に大きく影響します。VersantとPROGOSは、AIによる自動採点システムを採用しています。Versantは「高度な言語認識システムと自動採点システム」により、客観的かつ一貫性のある英語力測定が可能であり、試験官による採点のばらつきがないとされています 。PROGOSもAI診断に基づいており、最短2〜3分で結果が返却される迅速さが特徴です 。
一方、TSSTとTOEIC S&Wは、人間の採点者が評価を行います。TSSTは「認定採点者」が7つの観点からスピーキング力を評価します 。TSSTの目的の一つは、受験者の「英語運用能力」を総合的に評価することであり、専門の評価者がコミュニケーションの伝わりやすさを厳格に評価します 。
TOEIC S&Wの採点システムは特に厳格です。ETSの訓練を受けた有資格のヒューマンレーター（採点者）が、ONE（Online Network for Evaluation）システムを通じて採点します 。採点は質問ごとに匿名で行われ、1人の受験者に対してスピーキングとライティングそれぞれ最低3人、平均10人の採点者が割り当てられます 。採点者は担当する質問以外の受験者のスコアを見ることはできず、先入観や偏見を防ぐ仕組みが徹底されています。また、採点者は毎日「カリブレーションテスト」に合格しなければ採点できないなど、採点の正確性を最大限に高めるための厳重な品質管理が行われています 。
AI採点は、そのスピードとコストパフォーマンス、そして客観的なデータに基づいた一貫性のある評価が強みです。VersantやPROGOSの低コストは、AI採点による人件費削減に起因すると説明されています 。対照的に、人間の採点では、より複雑なニュアンスやコミュニケーションの意図、論理構成といった、AIでは捉えにくい高度な要素を評価できる可能性があります。TOEIC S&Wの詳細な採点プロセスは、その評価の信頼性と公平性を保証するためのものです。どちらの採点方法が良いかは、受験者が何を重視するか（スピードとコストか、それとも詳細で人間的な評価か）によって異なります。
評価されるスキルとビジネスへの関連性
各テストは、スピーキング能力を構成する異なる側面を評価します。
- Versant: 「発音」「流暢さ」「語彙」「文章構成」の4つの視点から英語力を判定します 。特に「流暢さ」と「文章構成」の比重が高いとされています 。AIが音声認識技術を用いて、話すスピード、リズム、言葉の詰まり、イントネーションなどを細かく分析することで、客観的な評価を可能にしています。これは、ビジネスにおけるスムーズで聞き取りやすいコミュニケーション能力を重視する企業にとって、直接的な指標となります。
- TSST: 「言語機能（理由説明、意見表明、問題解決など）」「話題／場面（状況の複雑さ、話題の範囲）」「テキストタイプ（文構造の複雑さ、構成力）」「正確さ（文法、語彙、発音、流暢さ）」の4つの基準で評価されます 。特に「その場で考えを即座に伝える能力」に焦点を当てており、ビジネスにおける予期せぬ状況での対応力や、論理的な説明能力を測ることに長けています。
- PROGOS: 国際指標であるCEFRに準拠し、「表現の幅」「正確さ」「流暢さ」「やりとり」「一貫性」「音韻（発音）」の6つの発話の質に加え、「コミュニケーションの目的達成度」を加味した総合評価を行います 。単なる語彙や発音の合計点ではなく、「英語を使ってどのくらいコミュニケーションできるか」という実践的な能力を測ることを重視しており 、ビジネスにおける円滑な対話能力や、プレゼンテーション能力の評価に適しています。
- TOEIC S&W:
- スピーキング: 発音、イントネーション、アクセント、文法、語彙、一貫性、内容の妥当性・完全性などが評価されます 。
- ライティング: 文法、関連性、文章の質と多様性、語彙、構成、理由や例を挙げて意見を述べる能力が評価されます 。ビジネスや日常生活における様々な状況での英語コミュニケーション能力を総合的に測定するため、幅広いスキルが問われます。特に、スピーキングとライティングの両方を評価することで、ビジネスで求められる「アウトプット力」を多角的に把握できる点が特徴です。
各テストの評価項目を比較すると、VersantとPROGOSはより細分化されたサブスコアを提供し、特定の言語要素（発音、流暢さなど）に焦点を当てています。一方、TSSTやPROGOSの「言語機能」「やりとり」「コミュニケーションの目的達成度」といった項目は、単なる言語の正確さだけでなく、実際のコミュニケーションにおける効果性や、状況に応じた対応能力を重視していることを示しています。これは、ビジネスにおいて求められる「何を」「どのように」伝えるかという、より実践的な側面を評価する上で重要な要素となります。
受験料とコストパフォーマンス
受験料はテスト選びにおいて無視できない要素です。Versantの受験料は5,500円 または7,700円 と、TOEICやTOEFLと比較して安価であるとされています。これはAIによる機械採点を用いることで人件費を抑えているためです 。
TSSTの受験料は個人で8,800円、法人で7,700円です 。人間の採点者が評価を行うテストとしては比較的リーズナブルな部類に入ります。
PROGOSは、1受験あたり550円と非常にリーズナブルな価格設定がされています 。さらに、スマートフォンアプリ版では1日1回無料で受験できるため、費用を気にせず頻繁に実力をチェックできる点が最大の強みです 。これは、英語学習者が継続的に自身の進捗を把握し、弱点を克服するための練習を重ねる上で非常に有効な手段となります。
コストパフォーマンスを考えると、PROGOSは頻繁な自己評価や学習進捗の確認に最適です。VersantもAI採点により手頃な価格で迅速なフィードバックが得られます。TSSTとTOEIC S&Wは費用が高めですが、人間の採点による詳細なフィードバックや、より公式な資格としての価値を求める場合に選択肢となります。
企業での導入事例
各テストが実際にどのような企業で、どのような目的で活用されているかを知ることは、ビジネスパーソンにとってテスト選択の重要な判断材料となります。
| テスト名 | 導入企業例 | 活用目的 |
| Versant | JT、セブン-イレブン・ジャパン、楽天、ヒルトングループ、アメリカ国防総省、オランダ移民局、住友重機械建機クレーンなど | 中途採用プロセス、グローバル企業の昇進試験、海外派遣候補者の選定、従業員のトレーニング |
| TSST | 多くの企業・学校 | 研修効果測定、社内英語力テスト、海外赴任選考、新入社員教育 |
| PROGOS | アマゾンジャパン合同会社、株式会社アトラス、同志社女子大学、アサヒグループホールディングス株式会社など1,000以上の企業・教育機関 | グローバル人材採用時の判断基準、社員の英語スキル向上、グローバル人材育成の評価基準、教科指導への活用 |
| TOEIC S&W | 双日株式会社、富士通株式会社、コロンビアスポーツウェアジャパン、出光興産株式会社、住友化学株式会社、キリン株式会社、ソニー株式会社、株式会社電通など多岐にわたる業種 | グローバルビジネス拡大への対応、英語力の底上げ、アウトプット力強化、海外赴任要件、グローバルビジネスリーダー育成 |
Versantは、特に外資系企業や多国籍企業で採用や昇進の基準として広く利用されています 。これは、Versantが実践的なビジネス英語力を客観的に測るツールとして世界的に認知されていることを示しています。
TSSTは、その利便性と実践的な英語運用能力の測定に特化していることから、企業の研修効果測定や社内英語力テストとして幅広く導入されています 。特に、日本人の英語学習者が陥りやすい「話せない」という課題を克服するための指標として活用されています。
PROGOSは、その手軽さとCEFR準拠の評価基準により、1,000以上の企業や教育機関で導入されています 。アマゾンジャパンのような大手企業が新卒採用に活用していることは、PROGOSがグローバル人材の採用基準として信頼されていることを示唆しています 。
TOEIC S&Wは、長年の実績と幅広い認知度を背景に、多様な業種の企業で導入されています 。双日や富士通のように、海外赴任やグローバルビジネスリーダー育成の要件として、TOEIC L&Rと併用して活用されるケースが多く見られます 。これは、TOEIC S&Wが単なるスピーキング力だけでなく、ライティングも含めた総合的なビジネス英語のアウトプット能力を重視する企業に選ばれていることを示しています。
各テストの詳細解説と対策法
ここからは、各スピーキングテストの具体的な内容と、効果的な対策方法について詳しく解説します。
Versant：AI採点のビジネス英語テスト
Versantは、AIによる自動採点が特徴の英語スピーキングテストです。
- テスト概要: 約20分で63問が出題されます 。スマートフォンやパソコンから24時間365日いつでも受験可能で、結果は即座に確認できます 。
- 評価項目: 「発音」「流暢さ」「語彙」「文章構成」の4つのスキルを20〜80点のスコアで評価します 。特に「流暢さ」と「文章構成」の比重が高いとされています 。AIは、回答までの開始時間、回答の長さ、ためらいや詰まり、音声のピッチやトーン、強勢やイントネーションなどを分析し、客観的に採点します 。
- 問題形式例 (音声なしでできる練習問題のヒント):
- Part A (音読): 画面に表示される英文を音読します 。
- Part B (復唱): 聞こえてきた英文をそのまま繰り返します 。
- Part C (質問応答): 日常的な質問に答えます 。例：「Would you like to live in a large city or small town? Please explain why.（大きな都市と小さな町、どちらに住みたいですか？その理由も説明してください）」。
- Part D (文章再構成): 提示された単語を並べ替えて正しい英文を作成します 。
- Part E (要約): 聞こえてきた物語を要約します 。
- Part F (意見陳述): 特定のテーマについて自分の意見と理由を述べます 。例：「Which do you think is more important, knowledge or money? Please explain your answer.（知識とお金、どちらがより重要だと思いますか？その理由を説明してください）」。
- 対策のポイント:
- 発音・流暢さの強化: AI採点では、発音の正確さや途中で詰まらない流暢さが特に重要視されます 。シャドーイングや音読を繰り返し行い、英語の音の変化（連結、消失など）を意識して、スムーズに発話できるよう練習しましょう 。自分の発音を録音して確認することも非常に有効です 。
- 瞬発力養成: 質問に対して瞬時に英語で返答する力が求められます。瞬間英作文の練習を通じて、簡単な日本語を素早くシンプルな英語に組み立てる訓練を積むことが効果的です 。
- リスニング力向上: 問題の指示や質問は英語のみで一度しか再生されないため、正確な聞き取りが不可欠です 。英語のポッドキャストやニュースを聞く習慣をつけ、リスニング力を鍛えましょう 。
- AI英会話アプリの活用: Versant公式アプリやAI英会話スピークバディなどのアプリは、AIとの対話を通じて発音、流暢さ、語彙、文章構成をブラッシュアップするのに役立ちます 。
VersantのAI採点は、発音や流暢さといった「話し方」の側面を客観的に評価することに優れています。これは、AIが音声データを数値化しやすいためであり、受験者はこれらの要素に重点を置いて対策することで、スコアアップに繋がりやすくなります。
TSST：電話で手軽に実践力を測る
TSSTは、電話で受験できる手軽さと、実践的な英語運用能力の測定に特化したテストです。
- テスト概要: 約15分間で10問が出題されます 。各質問への回答時間は45秒です 。日本国内であればどこからでも24時間受験可能で、設問は日本語でも読み上げられるため、リスニングが苦手な方でも安心して受験できます 。結果は専用ウェブサイトで17日後に閲覧可能です 。
- 評価項目: 「言語機能（理由説明、意見表明など）」「話題／場面（状況の複雑さ、話題の範囲）」「テキストタイプ（文構造の複雑さ、構成力）」「正確さ（文法、語彙、発音、流暢さ）」の4つの基準で評価されます 。特に「その場で瞬時に考えを伝えられるか」という「英語運用能力」を重視しています 。
- 問題形式例 (音声なしでできる練習問題のヒント):
- 自己紹介・身近な話題: 自己紹介や趣味、家族、仕事など、個人的な内容に関する質問が多く出題されます 。例：「自己紹介をしてください。」「あなたの好きな国はどこですか。その理由を教えてください。」。
- 説明問題: 特定の場所や物事について説明を求められます 。例：「Please tell me about the place where you live.（あなたが住んでいる場所について教えてください）」。
- ビジネス関連: 会議の準備や働き方など、ビジネスシーンに関連する質問も出題されます 。
- 対策のポイント:
- 口慣らし: 受験前に、自分の仕事、家族、趣味など、自己紹介や日常会話で必要になる内容を英語で話す練習をしておきましょう 。45秒の回答時間を意識して練習すると、本番での時間感覚をつかめます 。
- 「黙らない」意識: 質問が分からなくても、沈黙せずに何か話すことが重要です 。聞き取れた単語から推測して、知っている範囲の単語や表現を使って話し続けることで、コミュニケーションを取ろうとする姿勢が評価されます 。
- 明確な伝達: 自分が伝えたいことをどれだけ分かりやすく話せるかが評価の対象となります 。嘘をつかず、事実を的確に伝えることに集中することで、余計な思考エネルギーを英語表現に回せます 。
- 瞬間英作文: 使える英文を増やすために、瞬間英作文の練習が効果的です 。短い文型の英文をスピーディーに発話する訓練を積むことで、即座に英語を組み立てる力が向上します。
TSSTは人間の採点者が評価を行うため、単なる言語の正確さだけでなく、コミュニケーションを成立させようとする意欲や、内容を分かりやすく伝えようとする努力も評価の対象となります。そのため、完璧な文法や発音よりも、まずは「とにかく話す」ことを意識した練習が効果的です。
PROGOS：CEFR準拠のビジネススピーキングテスト
PROGOSは、国際指標CEFRに準拠したビジネススピーキングテストで、手軽さとリーズナブルな価格が特徴です。
- テスト概要: 受験時間は約20分で、PC、スマートフォン、タブレットで受験可能です 。AIによる自動採点で、結果は最短2〜3分で返却されます 。アプリ版では1日1回無料で受験できます 。
- 評価項目: CEFRの6つの発話の質（「表現の幅」「正確さ」「流暢さ」「やりとり」「一貫性」「音韻（発音）」）に加え、「コミュニケーションの目的達成度」を加味した総合評価を行います 。暗記に頼らず、「英語を使ってどのくらいコミュニケーションできるか」を評価します 。
- 問題形式例 (音声なしでできる練習問題のヒント):
- Part 1: Interview (インタビュー): 短い質問に一問一答形式で答えます 。例：「ここ2年間で、あなたの仕事にはどのような変化がありましたか？」。
- Part 2: Reading Aloud (音読): 表示される文章を読み上げます 。
- Part 3: Presentation (プレゼンテーション): 指定されたトピックについてプレゼンテーションを行います 。例：「残業」について、「なぜ残業するのか？」「どれくらいの頻度で残業するのか？」といった指定に沿って話します 。
- Part 4: Presentation with Graphic (グラフ・図を用いたプレゼンテーション): グラフや図の内容を説明します 。
- Part 5: Communication Activity (ロールプレイ): 音声と会話をするように、数往復のやり取りを行います 。
- 対策のポイント:
- 時間いっぱい話す: 各問題で与えられた回答時間（例：Part 1は20秒）を最大限に活用し、無音の時間をなくすことが重要です 。質問の意味が聞き取れなくても、聞き取れた単語から推測し、とにかく話し続けることで評価が上がります 。
- 論理的な構成: プレゼンテーションや意見陳述では、主張、理由、具体例の順で話すPREP法などを意識し、論理的な構成を心がけましょう 。
- 発音・イントネーション: 単調に話すのではなく、強調やイントネーションを意識して、少し大げさに発音するくらいが点数アップに繋がりやすいです 。
- 語彙と表現の幅: 多くの文法や構文、語彙、フレーズを使うことで「表現の幅」が評価されます 。ビジネス英単語を中心に学習し、実際に使える単語・表現を増やすことが重要です 。
- オンライン英会話の活用: ディスカッション教材や発音教材が豊富なオンライン英会話サービスは、PROGOS対策に非常に有効です 。特に、レアジョブ英会話では月1〜2回PROGOSを無料で受験できるため、定期的な実力把握と学習に活用できます 。
PROGOSは、CEFRという国際的な評価基準に準拠しているため、自身の英語力が世界レベルでどの位置にあるかを把握するのに適しています。AI採点でありながら、「コミュニケーションの目的達成度」を重視している点は、単なる言語要素の評価を超えて、実践的なコミュニケーション能力を測ろうとする意図が伺えます。
TOEIC S&W：総合的なビジネス英語力測定
TOEIC Speaking & Writing Testsは、スピーキングとライティングの2技能を総合的に測定するテストです。
- テスト概要: スピーキングテストが約20分（11問）、ライティングテストが約60分（8問）の合計約80分で構成されます 。テストセンターのPCで受験します 。結果は通常約30日後に返却されます。
- 評価項目:
- スピーキング: 発音、イントネーション、アクセント、文法、語彙、一貫性、内容の妥当性・完全性などが評価されます 。
- ライティング: 文法、関連性、文章の質と多様性、語彙、構成、理由や例を挙げて意見を述べる能力が評価されます 。訓練された人間の採点者が、厳格な採点基準に基づき、複数人で評価を行うことで、採点の正確性と信頼性を高めています 。
- 問題形式例 (音声なしでできる練習問題のヒント):
- スピーキングテスト:
- 音読問題: アナウンス原稿や広告などの短い英文を音読します 。
- 写真描写問題: 1枚の写真が提示され、その写真について説明します 。応答問題: 身近な問題についてのインタビューや電話での会話に応答します 。例：「テレビをどのくらいの頻度で見ますか。」「ふだんはどんな番組を見ますか。」「好きなテレビ番組について説明してください。」。
- 指示された情報に基づく応答問題: 提示された資料や文書（スケジュールなど）に基づいて、設問に答えます 。
- 意見を述べる問題: 提示されたテーマについて、自分の意見とその理由を述べます 。例：「給料は安いけれど、自由時間が十分にある仕事に就くことを、あなたはどう考えますか。意見とその理由を述べてください。」。
- ライティングテスト:
- 写真描写問題: 2つの語句を使って、写真の内容に合う文章を作成します 。
- Eメール作成問題: 短いEメールを読み、返信メールを作成します 。
- 意見を記述する問題: 提示されたテーマについて、理由や例を挙げながら自分の意見を記述します 。
- スピーキングテスト:
- 対策のポイント:
- アウトプット習慣化: 日本人はスピーキングとライティングが苦手な傾向にあるため、日常生活で英語を話したり書いたりする習慣をつけることが重要です 。英語で独り言を言ったり、英語で日記をつけたりするのも効果的です 。
- 発音・イントネーション練習: スピーキングテストでは正しい発音、自然なアクセント、イントネーションが重視されます 。自分の発音を録音して聴き、改善点を見つけながら繰り返し練習しましょう 。
- 論理的思考力: 意見を述べる問題やエッセイ作成では、論理的に自分の考えを構成する力が求められます 。理由や具体例を挙げて説明する練習を積むことが重要です 。
- 問題集の活用と添削: 公式問題集を繰り返し解くことで、本番形式に慣れることができます 。特にスピーキングとライティングは、独学では限界があるため、オンライン英会話のライティングコースや、英語講師による添削サービスを活用し、客観的なフィードバックを得ることが効率的な学習に繋がります 。
TOEIC S&Wは、ビジネスシーンに特化した内容に加え、ライティングも評価するため、総合的な英語のアウトプット能力を測りたい場合に適しています。人間の採点による詳細なフィードバックは、自身の弱点を深く理解し、具体的な改善策を立てる上で非常に価値があります。
あなたに最適なスピーキングテストの選び方
ビジネスパーソンが英語スピーキングテストを選ぶ際、自身の目的、現在の英語力、そして費用や手軽さといった現実的な要素を考慮することが不可欠です。
目的別：ビジネスシーンでの活用を重視するなら
- 即戦力・実践力を重視:
- Versant: AI採点による迅速なフィードバックと、企業での導入実績の多さから、ビジネスでの即戦力としての英語力を測りたい場合に最適です 。特に、発音や流暢さなど、AIが客観的に評価しやすい要素を重視する企業での昇進や海外赴任を目指す方に推奨されます。
- PROGOS: 「仕事で使える」英語力に特化し、CEFR準拠でビジネスシーンでのコミュニケーション能力を測ります 。リーズナブルな価格で頻繁に受験できるため、日々の学習の成果を確認しながら、ビジネスでの実践力を着実に高めたい方に適しています 。
- 総合的なアウトプット力・公式な証明を重視:
- TOEIC S&W: スピーキングとライティングの両方を測定するため、ビジネスにおける英語での「発信力」を総合的に高めたい場合に適しています 。多くの企業で採用実績があり、公式な英語能力の証明として活用したい方に推奨されます 。
- 「話せない」課題の克服・瞬発力強化:
- TSST: 紙のテストは得意だが話すのが苦手、という日本人特有の課題に焦点を当てています 。電話で手軽に受験でき、その場で瞬時に英語を話す力を測るため、実践的なコミュニケーション能力を向上させたい方に適しています 。
レベル別：現在の英語力に合わせた選び方
- 初心者〜中級者（CEFR A1-B1レベル）:
- PROGOS: アプリ版で無料で毎日受験できるため、自分のレベルを気軽に把握し、継続的に学習を進める上で非常に有効です 。CEFRの各レベルに応じた詳細な評価が得られるため、具体的な学習目標を設定しやすいでしょう 。
- TSST: 設問が日本語でも読み上げられるため、リスニングに不安がある初心者でも安心して受験できます 。自分の言葉で話す練習を始めるのに適しています。
- 中級者〜上級者（CEFR B1-C1レベル）:
- Versant: AIによる客観的な評価は、自身の発音や流暢さの課題を明確にするのに役立ちます 。ビジネスレベルの英語力を目指す上で、具体的な改善点を見つけやすいでしょう。
- TOEIC S&W: 実際のビジネスシーンを想定した問題が多く、より複雑な内容を論理的に話したり書いたりする力が求められます 。自身のビジネス英語力をさらに高めたい上級者にとって、挑戦しがいのあるテストです。
費用・手軽さ別：継続的な学習を見据えて
- 費用を抑えたい・頻繁に受験したい:
- PROGOS: 550円という低価格に加え、アプリ版の無料受験オプションは、費用を気にせず定期的にスピーキング力をチェックしたい方に最適です 。学習のモチベーション維持にも繋がりやすいでしょう。
- 手軽さを重視したい:
- Versant, TSST, PROGOS: いずれもオンラインまたは電話で、自宅や好きな場所から受験できるため、多忙なビジネスパーソンでもスケジュールに組み込みやすいです 。特にTSSTは電話、PROGOSはスマホアプリで手軽に開始できます 。
- 公式な資格として重視したい:
- TOEIC S&W: 他のテストに比べて受験料は高めですが 、その認知度と信頼性の高さから、就職や転職、社内での評価など、公式な英語能力の証明として活用したい場合に価値があります 。
これらの比較を通じて、自身のニーズに最も合致するテストを選択することが、英語スピーキング力向上の第一歩となります。
今すぐできる！スピーキング力向上練習問題(※音声なし）
英語スピーキングテストの対策には、日々の継続的な練習が不可欠です。ここでは、音声がなくても実践できるスピーキング力向上のための練習問題を紹介します。
瞬間英作文で瞬発力アップ
瞬間英作文は、日本語の短い文章を瞬時に英語に変換する練習です。これにより、英語を話す際の「詰まり」を減らし、流暢さを向上させることができます。
練習方法:
- 以下の日本語の質問文を読みます。
- 質問に対する答えを頭の中で日本語で考えます。
- その日本語の答えを、できるだけ早く英語に変換して声に出します。
- 完璧な文法でなくても、まずは「伝える」ことを意識して話しましょう。
練習問題:
- 質問1: あなたの仕事で、最近最もやりがいを感じたことは何ですか？
- 回答例のヒント: 「新しいプロジェクトの成功」や「顧客からの感謝の言葉」など、具体的なエピソードを簡潔に表現してみましょう。
- 質問2: チームで働く上で、最も重要だと考えることは何ですか？
- 回答例のヒント: 「コミュニケーション」「信頼」「協力」など、キーワードを挙げ、その理由を説明してみましょう。
- 質問3: ストレスを感じた時、どのように対処していますか？
- 回答例のヒント: 「運動する」「音楽を聴く」「友人と話す」など、具体的な行動を挙げて説明してみましょう。
ロールプレイで実践力アップ
ロールプレイは、特定の状況設定に基づいて会話をシミュレーションする練習です。これにより、実際のビジネスシーンで求められる対応力や表現力を養うことができます。
練習方法:
- 以下の状況設定を読み、自分がどのような役割を演じるかを把握します。
- 相手（仮想の人物）からの質問やコメントを想定し、それに対して英語で声に出して応答します。
- 一方的に話すだけでなく、相手との「やりとり」を意識して、質問をしたり、確認したりする練習も取り入れましょう。
練習問題:
- 状況設定1: 海外の取引先との打ち合わせ
- あなたは日本の企業で働くビジネスパーソンです。海外の取引先（仮想の相手）とのオンライン打ち合わせで、自社の新製品について説明する場面です。
- 相手からの想定質問例:
- “Could you briefly introduce your new product?” (新製品について簡単に紹介していただけますか？)
- “What are the key benefits of this product for our company?” (この製品の主な利点は何ですか？)
- “When can we expect the product to be available in our market?” (いつ頃、私たちの市場で製品が利用可能になりますか？)
- あなたの応答のヒント: 製品の概要、競合との差別化ポイント、導入スケジュールなどを論理的に説明し、相手の質問に具体的に答える練習をしましょう。
- 状況設定2: 同僚とのランチミーティング
- あなたは職場の同僚（仮想の相手）とランチをしながら、最近の業務の進捗状況について話しています。
- 相手からの想定コメント例:
- “How’s your project going? Any challenges recently?” (プロジェクトの進捗はどうですか？最近何か課題はありますか？)
- “I’m struggling with [specific task]. Do you have any advice?” (特定の業務で苦戦しています。何かアドバイスはありますか？)
- あなたの応答のヒント: 自分のプロジェクトの状況を簡潔に報告し、課題があれば具体的に説明しましょう。また、同僚の課題に対して、具体的なアドバイスや提案を英語で話す練習をしましょう。
意見陳述で論理力アップ
意見陳述は、与えられたテーマについて自分の意見を述べ、その理由や具体例を挙げて説明する練習です。これにより、論理的な思考力と表現力を養うことができます。
練習方法:
- 以下のテーマを読み、自分の意見を明確にします。
- その意見を支持する理由を2〜3つ考えます。
- 理由を裏付ける具体的な例や詳細を考えます。
- これらを論理的に構成し、声に出して話します。
練習問題:
- テーマ1: 「リモートワークは、従業員の生産性を向上させると思いますか？その理由を説明してください。」
- 意見のヒント: 賛成か反対か、または両方の側面を考慮するかを決め、時間管理の柔軟性、通勤時間の削減、集中力の向上、コミュニケーションの課題、チームワークへの影響など、具体的な理由を挙げて説明してみましょう。
- テーマ2: 「企業は、従業員の継続的な学習とスキルアップをどのように支援すべきだと思いますか？具体的な方法を提案してください。」
- 意見のヒント: 研修プログラムの提供、オンライン学習プラットフォームの導入、資格取得支援、メンター制度の導入など、具体的な支援策を提案し、それがなぜ効果的だと考えるのかを説明してみましょう。
これらの練習問題は、音声がなくても紙とペン、そして自分の声があればすぐに実践できます。継続することで、英語を話すことへの抵抗感を減らし、自信を持ってスピーキングテストに臨めるようになるでしょう。
英語スピーキング力向上のための学習法
スピーキングテストのスコアアップだけでなく、ビジネスで本当に使える英語力を身につけるためには、日々の学習習慣が重要です。
日常的なアウトプット習慣の重要性
英語スピーキング力を向上させるには、インプットだけでなく、積極的にアウトプットする機会を増やすことが不可欠です 。頭の中に浮かんだ考えを英語で表現する「独り言英会話」は、費用をかけずにできる効果的な方法です 。日常生活の出来事や、仕事で考えたことなどを、英語で声に出して話す習慣をつけましょう。これにより、英語で考える「英語脳」を構築し、瞬時に英語を組み立てる力を養うことができます 。
シャドーイングと音読の効果
シャドーイングは、聞こえてくる英語の音声に少し遅れて影（シャドー）のように発話する練習方法です。リスニング力を鍛えるだけでなく、英語特有の発音、リズム、イントネーション、音の連結や消失などを習得するのに非常に効果的です 。発音できる音は聞き取れるという原則に基づき、シャドーイングを継続することで、リスニング力と発話の流暢さが同時に向上します 。
音読もまた、英語の文章を声に出して読むことで、発話の筋肉を鍛え、スムーズに英語を発話できるようになるための基礎を築きます 。毎日続けることで、発音する際の口の動かし方が身につき、自然な英語のリズム感を養うことができます 。
オンライン英会話の活用
オンライン英会話は、実践的なスピーキング練習の場として非常に有効です。ネイティブスピーカーや経験豊富な講師と実際に会話することで、リアルタイムでのコミュニケーション能力を鍛えることができます 。質問に答えるシミュレーションや、ディスカッション、ディベートに参加する機会を増やすことで、VersantやPROGOS、TOEIC S&Wの意見陳述問題などで求められる論理的な思考力と表現力を養うことができます 。また、自分の発話に対するフィードバックや添削を受けることで、独学では気づきにくい文法や発音の誤りを修正し、効率的に学習を進めることが可能です 。
まとめ：ビジネス英語スピーキングテストを最大限に活用しよう
本記事では、ビジネスパーソンが英語スピーキング力を向上させるために活用できる主要なテスト、Versant、TSST、PROGOS、TOEIC S&Wを詳細に比較しました。各テストには、試験時間、受験形式、採点方法、評価項目、受験料、CEFR相関、結果返却時間、そして企業での導入事例において、それぞれ異なる特徴と強みがあることが明らかになりました。
AI採点を用いるVersantやPROGOSは、その手軽さと迅速な結果返却、そしてコストパフォーマンスの高さから、頻繁な実力チェックや効率的な学習進捗の把握に適しています。特にPROGOSのアプリ版無料受験は、継続的な学習の大きな助けとなるでしょう。これらのテストは、発音や流暢さといった要素を客観的に評価することに優れており、ビジネスにおける「伝わる英語」の習得を目指す方に有効です。
一方、人間の採点者が評価を行うTSSTやTOEIC S&Wは、より複雑なコミュニケーションのニュアンスや論理構成、そして総合的なアウトプット能力を多角的に評価します。TSSTは日本人の「話せない」課題に特化し、TOEIC S&Wはビジネスシーンでの幅広い英語運用能力を証明する公式な資格として、企業での採用や昇進の基準として広く活用されています。
ビジネスパーソンが自身の英語スピーキング力を向上させるためには、まず自身の学習目的、現在の英語レベル、そして利用可能な時間や予算を明確にし、これらのテストの中から最適なものを選ぶことが重要です。そして、選んだテストの特性を理解した上で、シャドーイング、瞬間英作文、オンライン英会話などを活用した継続的なアウトプット練習に取り組むことが、目標達成への近道となります。
英語スピーキングテストは、単なる試験ではなく、自身の英語力を客観的に把握し、学習の方向性を定め、そして最終的にビジネスの場で自信を持って英語を使いこなすための強力なツールです。これらのテストを最大限に活用し、グローバルなビジネスシーンでの活躍を目指しましょう。
