IELTSのリスニングセクションで高スコアを目指すには、試験形式への十分な理解と効果的な勉強法が欠かせません。 留学や海外での生活を目標にIELTSを受験する多くの日本人受験者にとって、英語の「聞き取り」は大きな壁となりがちです。リスニング力に自信が持てずスコアが伸び悩んでいる人も多いでしょう。
しかし、各セクションの特徴を押さえ、適切な対策とトレーニングを積めば、リスニングスコアは確実に向上できます。本記事では、IELTSリスニングセクションの攻略に必要なポイントを網羅的に解説します。4つのセクションごとの特徴と出題パターン、頻出テーマと設問別の解き方のコツ、リスニング力向上のための勉強法(ディクテーションやシャドーイングなど)、イギリス英語やオーストラリア英語といった様々なアクセントへの対策、聞き逃しを防ぐノートテイキングのコツ、そしてスコアアップに直結する実践的なTipsまで、盛りだくさんの内容です。これらを押さえて実践すれば、IELTSリスニングでの高得点獲得も夢ではありません。
4つのセクションの特徴と出題パターン
IELTSリスニングは全4セクション(Part 1〜4)で構成され、計40問(各セクション10問)を約30分間で解答します(ペーパー受験では解答転記用にさらに10分間、コンピュータ受験では2分間が追加されます)。音声は問題冊子に記載された指示に従い一度だけ再生されます。また、リスニング音源にはイギリス英語、オーストラリア英語、アメリカ英語、カナダ英語など様々な国のアクセントが含まれています。各セクションの難易度は順に上がっていき、セクション1が最も易しく、セクション4が最も難しいとされています。それぞれのセクションで扱われる内容や典型的な設問形式は次の通りです。
セクション1:日常生活の会話(易しい)
内容:セクション1では、日常生活に関する二人の会話が流れます。例として、ホテル予約の電話対応、空港カウンターでのチェックイン、友人同士の雑談、不動産業者との物件相談など、身近なシチュエーションがテーマです。話し手は基本的に2人で、問題は会話を聞いてフォーム(用紙)に情報を書き込む形式が一般的です。
出題形式:最も典型的なのは書き取り式の穴埋め問題です。例えば会話中に出てきた名前・電話番号・住所・日時などの情報を聞き取って、問題用紙のフォームの空欄に書き込む形式が多く見られます。「1語と数字1つまで」といった語数指定があり、短い回答を書く問題が中心です。設問自体は比較的ストレートで、単純な事実確認が問われることがほとんどです。
特徴と対策:セクション1はリスニング試験の中で最も易しいパートと位置付けられています。その分、「確実に得点を稼ぐべきセクション」です。内容は平易ですが、スペルミスやケアレスミスに要注意です。人名や地名、曜日・月名などを正確に書けるよう、普段からスペルを覚えておきましょう。また、一度で音声を聞き取るために、事前の問題先読みが鍵となります。音声が流れる前に設問に目を通し、「何を答えれば良いのか」(例えば電話番号なのか名前なのか等)を予測しておくと、聞くべきキーワードに集中しやすくなります。会話全てを完璧に理解しようとする必要はなく、「解答に必要な情報(キーワード)を聞き逃さない」ことがポイントです。例えば「予約のための電話番号を尋ねる設問」であれば、会話中の数字のやり取りに意識を集中させる、といった具合です。このようにセクション1では、基礎的なリスニング力と注意力で全問正解を狙うつもりで挑みましょう。
セクション2:一人話者の説明(やや易しい〜中程度)
内容:セクション2では、一人の話者による**モノローグ(独白形式の説明や案内)**が流れます。テーマは日常生活に関連した案内や紹介で、例えば「博物館の館内アナウンス」「公園のガイドツアー紹介」「大学施設の利用方法の説明」「イベントの告知」などが挙げられます。話者は 1 名で、聴衆に向けて説明しているようなイメージです。
出題形式:このパートでは選択肢問題やマッチング問題、地図・図表の穴埋めなど、設問形式がやや多様になります。例えば選択式では質問に対して 3 つの選択肢 (A, B, C) から正答を選ぶ問題、マッチングでは項目と情報を組み合わせる問題、地図問題では地図上の位置や方向に関する質問などが出題されます。セクション1のような単純な書き取り問題だけでなく、文章全体の流れを理解して解答する問題が含まれる点が特徴です。
特徴と対策:セクション2はセクション1に比べると若干難易度が上がりますが、まだ比較的平易な部類です。話者が一人で話すため会話のようなやりとりの混乱はありませんが、説明内容を整理しながら聞く必要があります。ここでも音声が始まる前の先読みが重要です。特に選択肢問題では、あらかじめ選択肢に目を通しておき、どんな情報が来るかを予測しておくことで、聞き取りがスムーズになります。また、地図問題の場合は地図上の方角(北・南・左・右など)やランドマークに注目し、話の流れを想像しながら聞き取りましょう。注意点として、話者が説明途中で情報を追加したり訂正したりすることがあります。初めに聞こえた情報だけで即断せず、最後まで聞いて判断することが大切です。例えば、「最初は A を勧めたが、後からやはり B が良いと言い直す」ような展開があり得ます。こうした引っかけにも注意し、冷静に最後まで内容を追うよう心がけてください。
セクション3:複数話者の会話(中〜難しい)
内容:セクション3では、学術的なテーマに関する対話形式の会話が流れます。登場人物は2人以上(学生同士、または学生と教授など)で、大学や教育に関連した内容が典型です。例えば「教授と学生が課題について議論する」「学生グループが研究プロジェクトの進め方について話し合う」「セミナー参加者同士のディスカッション」といった、教育・学術場面での会話がよく出題されます。
出題形式:セクション3は複数人の発言を聞き分けて答える問題が特徴で、選択肢問題(単一選択・複数選択)やマッチング問題、文完成問題(文章を完成させる穴埋め)などが多く見られます。設問数も10問と他セクション同様ですが、会話の内容自体が複雑で、話者の意見の違いや要点の整理が必要になります。
特徴と対策:このパートはIELTSリスニングで最も難易度が高い部分とされています。複数の話者が入れ替わり話すため、「誰が何を言っているか」を把握することが重要です。会話文では、話者が男女で声の違いがある場合や、役割(教授か学生かなど)がはっきりしている場合があります。事前に設問を読んで、登場人物の名前や肩書きに下線を引いておき、音声を聞きながら話者と内容をマッチさせるよう意識しましょう。声のトーンや話し方にも注目すると、例えば落ち着いた口調で専門的な語彙を使っていれば教授、カジュアルな言葉遣いなら学生、といった推測が立てられます。また、セクション3では設問が選択肢形式の場合が多く、リスニングしながら選択肢を読むのは簡単ではありません。先読みでキーワードだけ押さえ、音声に集中する戦略も有効です。全てを完璧に理解し正解するのは難しいパートなので、目標正答率を7割(例えば10問中6〜7問正解)程度に設定し、確実に拾える問題を落とさないことが大切です。難しい問題にこだわりすぎず、聞き取れた情報から解けるものを確実に得点し、わからなかった部分は深追いしないメリハリも重要になります。
セクション4:学術的な講義(難しい)
内容:セクション4は、大学の講義やプレゼンテーションのような形式で、一人の話者が専門的な内容について話すモノローグが流れます。トピックは学術・専門的で多岐にわたり、例えば「生物学に関する講義」「歴史的な事象のプレゼン」「ビジネスにおけるマーケティング理論の説明」「環境問題についてのスピーチ」など高度なテーマが扱われます。
出題形式:典型的には要約やノートの穴埋め問題が出題されます。講義内容の概要が問題冊子に書かれており、その中のキーワードが抜け落ちているので、音声を聞いてその空欄を埋める形式です。設問は連続した穴埋めになっていることが多く、例えば講義ノートの箇条書きがあって所々空欄になっており、そこに入る語句を補充する、といった具合です。選択肢ではなく自分で聞き取った語を綴って書く記述式が中心になります。
特徴と対策:セクション4は内容が専門的で難しく聞こえますが、問題形式自体はセクション1と似ており、必要な情報さえ聞き取れれば解答しやすいパートでもあります。講義の中には専門用語や固有名詞が登場することもありますが、それらすべてを理解する必要はありません。むしろ、全体の流れや構成を把握し、解答に必要なキーワードを聞き逃さないことが重要です。先読みの際には、問題冊子に書かれた講義ノートや設問文から、どんな単語(品詞や内容)が入るか推測しておきましょう。例えば「Many monkey species are ( )」という穴埋めなら、are の後に続くのは動詞の ing 形か形容詞かな?といった文法の手がかりから予測が可能です。また、ボキャブラリー対策もスコアアップに直結します。セクション4で扱われるテーマは、科学・技術・歴史・経済・環境など幅広いため、日頃から様々な分野の英語に触れ、専門分野の基本用語にも慣れておくと有利です。特に IELTS 頻出のテーマ(環境問題、教育、医療、テクノロジー、文化比較など)の基本単語や表現は押さえておきましょう。セクション4では細部よりも講義全体の構成をイメージし、要点となる部分で集中して聞くことがポイントです。
頻出テーマと解き方のポイント
IELTSリスニングでは、出題トピック(題材)も設問形式もバラエティに富んでいますが、頻出のパターンを知っておくことで効率よく対策できます。このセクションでは、リスニングで扱われやすいテーマ(場面)と、設問形式ごとの攻略ポイントを解説します。
よく出るトピック・場面例
IELTSリスニングでは、日常生活から学術分野まで幅広い場面がカバーされます。以下は各セクションで頻出のテーマ例です。
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日常生活の会話(主にセクション1):予約・問い合わせ(ホテル予約、レストラン予約、交通機関の予約)、サービスの利用案内(レンタカーの説明、ツアー申込み)、個人情報の聞き取り(電話で名前や住所を伝える場面)など。
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案内・説明の独白(主にセクション2):観光案内(美術館や博物館の施設紹介、観光地のガイド)、イベントの説明(説明会やセミナーのアナウンス)、公共施設の利用方法(図書館の使い方、ジムの会員案内)など。
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教育・学術的な対談(主にセクション3):大学キャンパスでの会話(教授と学生の面談、ゼミでのディスカッション)、学生同士のプロジェクト相談、講義内容に関する質疑応答など。
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学術的な講義・プレゼン(主にセクション4):科学技術(AI や環境科学など)、歴史・文化(歴史上の出来事や文化比較)、社会問題(貧困や気候変動についての講義)、ビジネス・経済(市場分析や経営戦略の講演)など。
上記のように、セクション番号が上がるにつれて日常的な話題から徐々に専門性の高い話題へと移行していく傾向があります。幅広いテーマに対応できるよう、日頃からニュースや教材で様々なトピックの英語音声に触れておくと良いでしょう。
設問形式別の攻略ポイント
IELTSリスニングの設問形式にはいくつかパターンがあり、それぞれ解答のコツがあります。ここでは主な問題タイプとその対策ポイントを紹介します。
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書き取り式(記述式)の穴埋め問題: 音声中のキーワードを聞き取って解答用紙に書き込む形式です。フォーム記入、メモ・ノート完成、表やフローチャート完成、要約文の穴埋めなどが該当します。攻略ポイント:まず設問を先に読んで空欄の前後に注目し、文法的にどんな品詞・内容が入るか予想します(例えば空欄直前が「a」ならその後は名詞が来る等)。音声中では設問と同じ単語が使われない場合も多いので、**言い換え表現(同義語)**にも注意します。書き取った答えはスペルミスがないか、語数制限(”NO MORE THAN TWO WORDS” など)を満たしているか確認しましょう。
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選択肢問題(Multiple Choice): 質問に対し提示された選択肢から解答を選ぶ形式です。1問に選択肢が3〜4つある単一選択や、複数回答を選ばせる複数選択、さらには選択肢の組み合わせ問題などバリエーションがあります。攻略ポイント:音声を聞く前に選択肢のキーワードに目を通し、どのような情報が選択肢になっているか把握しておきます。音声中でそれぞれの選択肢に関連する語句が出てきたら、メモや印を付けておき、消去法で正解を絞り込むのも有効です。注意すべきは、音声で最初に言及された選択肢が必ずしも正解とは限らない点です。話の流れで途中で意見や回答が変わる可能性もあるため、最後まで聞いて判断しましょう。また、複数選択問題では必要な選択肢の数(例えば2つ選べ等)を見落とさないよう留意します。
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マッチング問題: リストや項目を対応づける問題です。例えば、人名とその人の意見を組み合わせる、見取り図上の場所にアルファベットでラベルを貼る、見出しと段落をマッチさせる(リーディングで多い形式ですがリスニングでも地図問題が該当)などがあります。攻略ポイント:マッチングでは設問側に書かれた項目のキーワードをしっかり把握し、音声中でそれぞれが言及された際に対応できるようにします。特に人名や地名、項目番号などはメモして、聞きながら対応関係をメモ上で線で結ぶなど整理すると良いでしょう。地図問題の場合は、音声の指示に従って地図上を辿る必要があるため、開始前に地図の方角や位置関係を把握し、案内の流れを予測しておくことが有効です。
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短答式(短い記述回答): 質問に対して1語〜数語程度で短く答える問題です。基本的には穴埋め問題と似ていますが、設問が疑問文の形で与えられ、自分で短い答えを記入する形式です。攻略ポイント:こちらも設問の指示に注目し(「3語以内で答えよ」など)、必要な情報を的確に聞き取ります。疑問文になっている場合は、質問詞(What, Where, When, Why, How など)の種類から答えの種類を予測できます。例えば “Where…?” であれば場所が答えになるはずなので、地名や位置に関する単語を注意して聞く、という具合です。答えを書く際は語数やスペル確認を怠らず、文法的にも質問に対して正しい形になっているか最終チェックしましょう。
以上が主な設問形式と対策ポイントです。どの形式でも共通して言えるのは、「設問をよく読み、何が問われているかを正確に把握すること」、そして**「設問と同じ表現が音声で使われなくても対応できるように、言い換えや類義語を想定しておくこと」**です。これらを念頭に置いて練習すれば、どのタイプの問題が出ても落ち着いて対処できるでしょう。
リスニング力向上のための勉強法
リスニングセクションで高得点を狙うには、日頃の英語の聞き取り能力自体を底上げすることが不可欠です。ここでは、IELTS対策として特に効果的なリスニング学習法をいくつか紹介します。
ディクテーション(書き取り練習)
ディクテーションとは、英語の音声を聞いて一字一句書き取る練習方法です。これはリスニング力強化に古くから用いられる定番のトレーニングで、IELTSリスニング対策にも非常に有効です。具体的には、過去問や英語教材の音声を再生し、一時停止しながら聞こえた内容を紙に書き出します。書き取れなかった部分は何度か聞き直してみて、それでも不明な箇所はスクリプト(台本)で答え合わせをします。ディクテーションを行うことで、自分が聞き取れない音や語彙を明確に知ることができます。例えば、単語と単語が繋がって聞こえるリエゾン(音の連結)や、弱形(was の /wəz/ など弱く発音される形)に気づけるようになり、以降同じパターンに出会ったときに聞き取れるようになります。また、書くことでスペルの確認にもなるため、先述のセクション1や4で重要なスペリングミス防止にも役立ちます。初めは全文を書き取るのが難しく感じるかもしれませんが、繰り返すうちに徐々に書き取れる範囲が増えていき、自分のリスニング力向上を実感できるでしょう。
シャドーイング(復唱トレーニング)
シャドーイングは、聞こえてきた英語の音声の直後に続いて、影(shadow)のように真似て発音するトレーニングです。音声を流し、一拍遅れで自分も同じ内容を発話します。これは主にスピーキングの訓練法として知られますが、実はリスニング力の強化にも大変効果があります。シャドーイングを行うと、英語の音声のリズムやイントネーション、リエゾンなど細かな特徴に意識が向くようになります。最初はスクリプトを見ながら、徐々にスクリプトなしでできるよう練習します。聞いた音を即座に再現することで、英語を英語のまま処理する能力(いわゆる英語脳)を鍛えられ、速いスピードの会話にも慣れてきます。IELTSのリスニング音声はニュースほど早口ではありませんが、ナチュラルな会話スピードですので、シャドーイングで普段から耳を慣らしておけば本番でも落ち着いて聞き取れるでしょう。毎日短時間でも継続することで効果が蓄積します。
精聴と多聴を使い分ける
リスニング学習には、精聴(せいちょう)と多聴という2つのアプローチがあります。精聴とは、一つの音声素材を細部までしっかり理解し尽くす聞き方です。先のディクテーションやスクリプトを用いた内容把握などが該当し、わからない部分を無くす作業を通じて確実に理解力を高めます。一方、多聴とは、細部にこだわりすぎず量をこなして耳慣れすることです。英語のラジオやポッドキャスト、ニュース動画、映画などを幅広くたくさん聞くことで、未知の話題や語彙が出てきても慣れていく総合力が身に付きます。IELTSの勉強ではこの両方をバランスよく取り入れるのが理想です。例えば、過去問や模試の音源は精聴してしっかり理解する。一方で通勤・通学時間には BBC ニュースや英語の YouTube 解説動画などを流して聞き流す。こうした学習のハイブリッドで、試験対策と英語耳づくりを並行して行いましょう。
模擬試験形式の練習
最終的なスコアアップには、本番同様の形式で練習することも欠かせません。公式問題集や信頼できる模擬試験問題を使い、制限時間内で通しで解く練習を積みましょう。実際の試験環境をシミュレーションすることで、長時間集中力を保つ訓練になり、また緊張感にも慣れることができます。一回30分強のリスニングを解き切る集中力や、設問間の短いプレビュー時間で素早く先読みするスキルは、練習で鍛えるしかありません。自己採点後には必ず誤答を分析し、なぜ間違えたのか(聞き逃しか、意味を取り違えたか、スペルミスかなど)をチェックして、次回に活かしましょう。特に誤解しやすい発音や聞き取れなかったフレーズはスクリプトで確認し、繰り返し音読やシャドーイングすることで克服できます。過去問演習と復習を重ねることで、確実にスコアアップに近づくでしょう。
音声のアクセント対策
IELTSリスニングでは、様々な国の英語アクセントが登場します。試験では一つのテストの中で、イギリス英語(ブリティッシュアクセント)、オーストラリア英語、アメリカ英語など複数のアクセントが混在することもあります。日本の学校教育ではアメリカ英語に触れる機会が多いため、他のアクセントに戸惑う受験者も少なくありません。高スコア獲得のためには、どのアクセントでも理解できるよう準備しておくことが大切です。
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イギリス英語(イギリスアクセント):IELTSはイギリス発の試験ということもあり、ブリティッシュアクセントの音声が多く使われます。アメリカ英語との差異として、発音(例えば “water” がウォーターではなく「ウォータ」【r をあまり発音しない】になる等)や語彙(エレベーターではなく “lift” を使う等)に注意しましょう。対策として、BBC のニュースやポッドキャスト、イギリスのドラマ・映画などを日頃から視聴し、ブリティッシュ英語のリズムや発音に耳を慣らすと効果的です。
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オーストラリア英語・ニュージーランド英語:オーストラリアやニュージーランドのアクセントも IELTS では頻出です。これらはイギリス英語に近いですが、一部発音やイントネーションに独特の癖があります。例えば “Today” が「トゥダイ」のように聞こえる(ai の音が日本人には「アイ」に聞こえる場合がある)など、母音の発音に違いが見られます。オーストラリアのニュース番組(ABCニュースなど)や観光紹介動画などを視聴して、その訛りに慣れておきましょう。
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アメリカ英語・カナダ英語:北米のアクセントももちろん登場します。アメリカ英語には日本人が比較的慣れているケースが多いですが、話すスピードや省略に注意が必要です。カナダ英語はアメリカ英語に近いものの、一部単語の発音(「about」が「アバウト」ではなく「アブート」に近い音になる等)に特徴があります。CNN や VOA などのニュース、アメリカ・カナダのドラマや映画を英語音声で見る習慣をつけておくと良いでしょう。
アクセント対策全般:どのアクセントであっても、基本的な発音ルールを押さえておくと聞き取りやすくなります。例えば、イギリス英語やオーストラリア英語では [r] 音が弱かったり、省略される傾向、インド英語では “v” と “w” の聞き分けに注意などです。自分が特に聞き取りにくいと感じるアクセントがある場合は、その国の英語音声教材や YouTube チャンネルを集中的に聞いて訓練するとよいでしょう。様々な国の英語に日常的に触れておけば、本番でも急に知らない発音が出てパニックになることを防げます。
ミスを減らすノートテイキングのコツ
リスニング中は基本的に設問用紙にメモを書き込むことができます(コンピュータ受験の場合は、設問画面にメモ入力も可能です)。**ノートテイキング(メモ取り)**を上手に活用することで、ケアレスミスや聞き逃しを減らすことができます。ただし、やみくもに書き取ろうとすると返って混乱するため、コツを押さえましょう。
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重要なキーワードだけを書く:全てを書き留めるのは不可能ですし、その必要もありません。名前・数字・専門用語・固有名詞・年代など、答えに関わりそうな重要情報だけメモするようにします。特にスペルが難しい単語や番号は、一部でもメモしておくと後で見返せて安心です。
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略語や記号を活用する:メモを書く際は、できるだけ速く書けるよう省略形を使いましょう。例えば、「Tuesday」は「Tue」、「August」は「Aug」、「50 dollars」は「50$」といった具合に、自分が分かればOKな簡略表記で構いません。時間短縮のために、普段から英語の曜日・月・国名などの略語や、→(矢印)や&記号などを使い慣れておくと役立ちます。
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聞きながら整理する:複数の情報が次々に出てくる場合、単に書くだけでなく情報を関連づけて整理しましょう。例えばセクション3の会話で、A さんと B さんが異なる意見を述べているなら、メモ用紙上で A と B を分けて書き、各々の主張のキーワードを箇条書きすると後で見直した時に理解しやすいです。地図問題なら、方角や位置関係を矢印で示したり図を書いてしまっても良いでしょう。
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日本語や自分独自のメモでもOK:リスニング中はメモに書く内容そのものは採点されません。最終的に解答欄に正しい答えを書けば良いので、メモ段階では極端な話、日本語で要点を書いても構いません(例:「教授→反対」「学生→提案2つ」など)。自分が一瞬で理解できるメモを書くことが目的です。ただし、解答用紙に転記する際には英語で正しく書く必要があるので、音声中に書いた日本語メモを後で英語に戻せるよう内容を把握しておくことが必要です。
ノートテイキングは人によって取りやすい方法が異なります。練習の中で自分なりのメモスタイルを確立しておき、本番ではその方法を実践するようにしましょう。尚、紙の試験では最後に解答用紙に転記する時間がありますが、パソコン受験ではメモから回答入力までの時間が限られるため、特にタイムマネジメントに気を配りましょう。
Tips(スコアアップに役立つ実践的なアドバイス)
最後に、IELTSリスニングでスコアアップするための総合的な Tips を箇条書きでまとめます。
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設問の指示を厳守: 「○語以内で答えよ」「数字は含めない」などの指示を見落とすと痛恨のミスになります。解答を書く前に必ず指示を確認し、条件に沿った解答をしましょう。
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事前の先読みと設問分析: 音声が流れる前の短いプレビュー時間は貴重です。設問文に目を通し、キーワードに下線を引いたりメモを書き込んだりして、何を問われるかイメージトレーニングしておきます。
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同義表現・パラフレーズに注意: 問題文と同じ言葉が音声に出てこないケースは頻繁にあります。例えば質問文で “start” とあれば、音声では “begin” と言っているかもしれません。よく使われる言い換え表現を普段から覚えておくと、聞き逃しを防げます。
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集中力を途切れさせない: 30分以上に及ぶリスニングでは集中力が鍵です。1問聞き逃したと感じても、そのミスを引きずってはいけません。気持ちを切り替えて次の問題にすぐ意識を向けることが大切です。音声は一度きりなので、過ぎた問題を悔やんでいる暇はありません。
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スペル・単複に気を付ける: 答えを書くときはスペルミスや単数・複数形の誤りに注意しましょう。せっかく聞き取れていても、綴りを間違えると得点になりません。特に曜日や月名、人名・地名などは頻出かつ綴りミスが起きやすいので、確実に覚えておきます。また、”book” と “books” のように単複で意味が変わるものは、音声中の文脈から正しい形を判断し書き取ります。
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解答転記時のチェック: ペーパー試験ではリスニング終了後に10分間、メモした解答を解答用紙に清書する時間があります。この時間にスペルや語数、文法上の整合性などを必ず見直しましょう。コンピュータ試験では転記時間が2分しかないため、リスニング中に随時解答を確定させ、終了後迅速に見直す必要があります。
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公式教材で慣れる: IELTS 主催者から出版されている公式問題集やオンライン練習素材を活用して、本番と同じ形式の問題に十分慣れておきましょう。問題構成や話の展開パターンに慣れていれば、本番でも落ち着いて取り組めます。特に初めて見るタイプの設問が無いよう、事前に一通りの形式を経験しておくと安心です。
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実践的な英語を日常に取り入れる: スコアアップには継続的な英語耳作りが重要です。普段から英語のニュースを聞いたり、洋画を英語音声・英語字幕で観る、英語のポッドキャストを通勤中に聞くなど、日常生活で英語を耳にする時間を増やしましょう。楽しみながら英語音声に触れることでリスニングへの苦手意識が薄れ、本番でもリラックスして臨めます。
まとめ
IELTSリスニングで高スコアを獲得するためには、試験の形式と傾向を知り尽くした上で、自分の弱点を補強する学習を積み重ねることが不可欠です。本記事では、4つのセクションそれぞれの特徴と攻略法、頻出テーマと設問タイプへの対策、リスニング力を上げる学習法、様々な英語アクセントへの対処、効果的なノートテイキング術、そして総合的なスコアアップのコツを解説しました。大切なのは、知識として理解するだけでなく日々の練習で実践することです。ディクテーションやシャドーイングをコツコツ継続し、公式問題で実践練習を重ねれば、聞き取りの精度もスピードも飛躍的に向上するでしょう。最初は難しく感じても、適切な方法で訓練すれば確実に成果は出ます。IELTSリスニングは対策次第でスコアを伸ばしやすいセクションでもあります。今回紹介した攻略法を参考に、自分なりの勉強プランを立てて取り組んでみてください。継続した努力が実を結び、目標とするスコアに到達できることを応援しています!