IELTSライティングでスコアアップする完全ガイド:試験傾向から高得点対策まで

IELTSライティング対策

IELTSのライティングセクションで高スコアを狙いたいと考えている皆さんへ。本記事は、IELTSライティングで伸び悩んでいる方や、構成力や論理展開の強化を目指す方のための総合ガイドです。IELTSは英語圏への留学や移住のための試験として広く知られており、その中でもライティングは多くの受験者が難しいと感じるセクションです。スコアアップの鍵は、試験の形式を理解し、効果的な学習法と戦略を身につけることにあります。本記事では、試験の傾向(AcademicとGeneral Trainingの違い)、タスク1・タスク2別の攻略法、エッセイ構成のポイント、高得点に役立つ語彙表現、評価基準、よくあるミスとその回避法、実践的な練習問題、そしてスコアアップのためのTipsを詳しく解説します。IELTSライティングで目標スコアを達成するために、ぜひ最後まで読み進めて参考にしてください。

試験の傾向(AcademicとGeneral Trainingの違いや出題傾向)

まずはIELTSライティングの試験形式と出題傾向を押さえましょう。IELTSにはAcademicモジュールGeneral Trainingモジュールの2種類があり、ライティングセクションの内容もモジュールによって異なります。

  • Academic(アカデミック)モジュール: 大学や大学院への留学希望者向け。タスク1ではグラフ・表・地図・プロセス図などの視覚情報が与えられ、そのデータや特徴を要約・報告する文章を書く必要があります。タスク2は後述のとおりエッセイ問題で、社会的な話題について自分の意見や議論を述べます。

  • General Training(ジェネラル・トレーニング)モジュール: 移住や就職目的の受験者向け。タスク1では与えられた状況に応じて**英語の手紙(レター)**を書く課題が出題されます。状況に沿って情報提供や要望、謝罪などを行う内容で、手紙の形式(宛名や結び)やトーン(文体の丁寧さ)が評価されます。タスク2はこちらもエッセイ問題で、Academic同様に一般的なトピックについて意見や議論をまとめます(Generalの場合、Academicよりややパーソナルな文体になることもあります)。

試験時間と配点: ライティングセクション全体の持ち時間は60分で、タスク1とタスク2の2問から構成されます。一般的にタスク1に約20分、タスク2に約40分を充てる配分が推奨されています。文字数要件はタスク1が150語以上、タスク2が250語以上です。配点比率にも注意が必要で、タスク2はタスク1の約2倍の重みがあるため(Task 1が1に対しTask 2が2の比率でスコア計算)、タスク2でしっかり得点を稼ぐことが高スコア取得のポイントになります。時間配分ではまずタスク2を優先し、残り時間でタスク1を仕上げるぐらいの意識でも良いでしょう。

出題トピックの傾向: エッセイ(タスク2)のテーマは教育、環境、テクノロジー、社会問題、健康、文化など幅広い分野から出題されます。日頃からニュース記事やトピック別の語彙に触れて、様々なテーマに対応できるようにしておくと安心です。Academicのタスク1に出る図表の内容も経済データや人口統計、気候変化など様々ですが、年度や国の比較プロセスの説明などパターンがあります。過去問を分析すると出題形式のトレンドが見えてきますが、基本的にはどの形式が来ても対応できるよう対策しておきましょう。

ライティングタスク1のタイプ別攻略法

ライティングのタスク1は、AcademicとGeneral Trainingで形式が大きく異なります。それぞれの出題タイプ攻略法を確認しましょう。

Academicタスク1(グラフ・表・地図・プロセス問題)

Academicモジュールのタスク1では、図や表を言葉で説明する力が求められます。与えられる図表のタイプによって着目すべきポイントや書き方のコツが異なりますが、共通する攻略法を以下にまとめます。

  • 出題形式の種類: 折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、表(ターブルデータ)、地図(地理的な配置や変化)、プロセス(工程やサイクル図)など多岐にわたります。それぞれデータの読み取り方を練習しておきましょう。グラフや表では数値の増減や差異、地図では位置関係や変化点、プロセス図では手順の順序と結果がポイントです。

  • 回答の構成: 導入→概要(要約)→詳細の3部構成が基本です。導入では問題文の言い換え(どんな図で何について示されているかを一文で説明)を書きます。概要(Overview)では図全体から読み取れる主な傾向や特徴を2~3文でまとめます。例えば、「全体的にAが増加傾向にあり、Bが減少傾向にある」「X国が最も高く、Y国が最も低い数値を示している」といった全体像の要約を述べます。**詳細(Body)**では、図の具体的な数値や情報を用いて主要な特徴を詳しく記述します。比較や対照を行いながら、重要なデータをピックアップして説明しましょう。この際、細かすぎる数値の羅列は避け、顕著なポイントに絞ることが大切です。

  • 表現と語彙: グラフや表の変化を表す語彙として、増加を示す increase, rise, grow、減少を示す decrease, drop, decline、変化がない場合の remain stable, stay constant、変動する fluctuate などを適切に使い分けましょう。また副詞・形容詞を使って変化の度合いを表現できます(例:sharply【急激に】, steadily【着実に】, slight【わずかな】, dramatic【劇的な】など)。地図問題では north, south, adjacent to, converted into, expanded といった位置・変化表現を、プロセス問題では first, next, then, finally 等の順序語や受動態(例:X is produced, Y is then sent to…)を使って説明すると効果的です。

  • 文体と注意点: Academic Task1は報告文体(客観的でフォーマルな文体)で書きます。自分の意見や主観的なコメントは不要です。また150語以上という語数要件を満たすようにし、書き出す前に図から何を読み取るか計画を立てることも忘れずに。時間配分上20分程度しか割けないので、最初の2-3分で図表の内容を分析し概要とポイントをメモしてから書き始めると効率的です。

Academicタスク1攻略のポイント: 与えられた視覚情報から何が重要か見抜く力と、それを簡潔にまとめる文章力が鍵です。練習として、グラフや表を見たら主な傾向を日本語でいいのでまずまとめ、それを英語で表現するトレーニングを積みましょう。模範解答や過去問分析から、概要文の書き方やデータの取捨選択の仕方を学び、自分でも書けるよう繰り返し練習することがスコアアップに直結します。特にOverview(全体の要約)をしっかり書くことは高得点に不可欠です。

General Trainingタスク1(手紙問題:手紙の書き方とトーン)

General Trainingモジュールのタスク1では、提示された状況にもとづいて**英文レター(手紙)を書くことが求められます。手紙にはフォーマル(正式)なものからインフォーマル(親しい間柄)なものまであり、状況に応じて適切な文体(トーン)**で書くことが重要です。攻略法のポイントを整理します。

  • 課題内容の把握: 問題文には「あなたは○○の状況にあります。□□を書くために次の情報を含めて手紙を書きなさい。」のように状況説明と指示があります。さらに必ず含めるべきポイントが3つ程度箇条書きで示されています。まずはこれら3つの要点を見落とさず全て手紙に盛り込むことがTask Achievement(課題達成)の第一条件です。

  • 手紙の形式: 手紙文は決まった書式があります。書き出しでは宛名に応じて適切なあいさつを書きます(知らない相手や公式な相手には Dear Sir or Madam, 、友人など親しい相手には Dear [First Name], とする)。結びもフォーマルなら Sincerely, / Yours faithfully,、インフォーマルなら Best regards, / Best wishes, など使い分けます。手紙の構成自体は導入(書く目的)→本文(指示された各ポイントに対応する段落)→結び(簡単な結論や感謝、締めの言葉)という流れになります。フォーマットに慣れるため、様々な種類のレター(依頼、苦情、感謝、提案、お祝いなど)の例文を読み、自分でも書いてみましょう。

  • トーン(文体)の使い分け: 与えられた状況がフォーマルインフォーマルかを判断し、それに合った表現を選ぶことが重要です。例えば、友人への手紙や個人的な内容ならインフォーマルに、「こんにちは。元気にしていますか?」(Hi, How have you been?) のようなカジュアルな書き出しや、縮約形(I’m, I’ve)を使うなどくだけた表現が許されます。一方、会社や役所への依頼・苦情など公式な相手にはフォーマルな文体で、「~していただけますでしょうか?」(I would appreciate it if you could…) や「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」(I apologize for any inconvenience caused.) のように丁寧な言い回しを使います。トーンは一貫させることが大切で、途中で文体がぶれないように注意しましょう。

  • 内容の具体性: 箇条書きで与えられた指示(含めるべき内容)をそれぞれ段落にして、具体的に書きます。例えば「状況を説明」なら自分の置かれた状況を詳細に述べ、「要望を伝える」なら具体的なお願いを書く、といった具合です。単に箇条書きをなぞるだけでなく、自分なりの詳細や例を加えることで説得力のある手紙になります。ただし物語調に長々と逸れる必要はなく、あくまで指定された目的に沿って簡潔にまとめましょう。

  • 語数と時間: Task1全般に言えることですが150語以上を書く必要があります。Generalの手紙でも同様で、あまりに短いと減点対象です。時間は20分程度を目安に、書き始める前に3つの指示ポイントを軸に書く内容を簡単に下書きしてから文章化すると、抜け漏れを防げます。

Generalタスク1攻略のポイント: 手紙問題では形式遵守トーンの適切さが肝心です。日頃から「依頼メール」「お礼の手紙」など様々な機会の英文レター表現に親しみ、決まり文句(I am writing to inform you…, Thank you for …, Looking forward to your reply, など)をストックしておくと本番で役立ちます。練習として、身近な出来事を想定して自分宛てに英文手紙を書く習慣をつけるのも良いでしょう。

タスク2(エッセイ)の構成と論理的展開

ライティングのタスク2は、与えられたトピックについて**エッセイ(小論文)を書く問題です。高スコアを狙うには、エッセイの構成(文章の組み立て)論理展開(アイデアの流れ)**をしっかり整えることが不可欠です。ここでは一般的なエッセイ構成と論理展開のコツを解説します。

  • エッセイの基本構成: 導入(introduction)→本論(body)→結論(conclusion) の三部構成が基本です。

    • 導入段落では、まずトピックに関する背景や前提を簡単に述べ(パラフレーズして言い換える)、続いて自分の**主張( thesis )**やエッセイ全体の論旨を示す文を入れると良いでしょう。例えば意見論述型の問題なら「以下では○○について自分は△△であると主張する。」や「次の段落でその理由を述べる。」といった形で、自分の立場を明確にします。ディスカッション問題(双方の意見を議論するタイプ)なら「以下では両者の見解を検討し、自分の意見を述べる。」などエッセイの方向性を示します。

    • 本論段落では、通常2~3段落に分けて論旨を展開します。それぞれの段落はトピックセンテンス(段落の主張となる文)で始め、その後に具体的な説明や理由付け、例示を加えて肉付けします。例えば利点・欠点を問う問題なら、1段落目で利点について述べ、2段落目で欠点について述べる、と構成します。意見を支持するエッセイでは、主な理由をそれぞれ別段落で展開し、各段落でその理由を詳しく説明した上で具体例(自分の経験や一般論で構いません)を挙げると説得力が増します。段落と段落の間、および段落内の文同士は論理的につなげる必要があります。適切な接続詞や指示語(後述の高得点語彙・表現集参照)を使って、一貫性のある議論展開を心がけましょう。一つの段落内では一つの主題に絞ること、話題を混在させないことも大切です。

    • 結論段落では、エッセイ全体の要点を簡潔にまとめます。自分の意見を提示した場合は結論で再確認するとよいでしょう(例:「以上の議論より、○○という理由から△△であると結論付けられる」など)。新しい論点を持ち出す必要はありません。結論は短くても構いませんが、エッセイ全体を締めくくり、読者に主張が伝わるようにまとめます。

  • 論理展開と一貫性: 高得点を得るには内容が論理的で首尾一貫していることが重要です。**Coherence and Cohesion(一貫性と結束性)**という評価項目にも表れている通り、文章全体が論理の筋道に沿って展開しているか、適切に段落分けされているか、接続表現で文と文・段落と段落がうまく繋がっているかが評価されます。論理展開を強化するためのポイントは以下の通りです:

    • 問いに正面から答える: 与えられた問題が何を問うているかを正確に把握し、それに対する答えを軸に論を進めます。例えば「Do you agree or disagree?(賛成か反対か)」と問われているなら、賛成か反対かを明示し、その立場を支える理由を述べます。質問が二問ある場合(例:「原因は何か」「解決策は何か」)は両方に答えることを忘れず、段落を分けてそれぞれ論じましょう。

    • 段落構成を決めてから書き始める: 書き始める前に1~2分で構いませんので、簡単なプランを立てることをおすすめします。イントロで何を主張し、ボディ段落を何個にしてそれぞれ何について書くか、結論で何を述べるか、箇条書きで良いので構想を練ってから書き出すと、書いている途中で話が逸れにくくなります。

    • つなぎ語と参照語の活用: 文と文を論理的につなぐ接続詞・つなぎ表現(後述の「高得点を狙う語彙・表現集」で詳述)を適切に使いましょう。例えば、追加の議論には Moreover, Furthermore を、対立や転換には However, On the other hand を、例示には For example を使うなど、文と文の関係が明確になるようにつなぎ語を配置します。また this, that, these, those, such 等の指示語を使って前述の内容を受けたり言い換えたりすると、文章にまとまりが生まれます。ただし過度な反復や、不適切な接続詞の使用(論理関係に合わないものを使う)は逆効果なので注意しましょう。

    • 一貫したスタンス: 論じている途中で自分の立場が揺らいだり変わったりしないように注意します。例えば冒頭で「賛成」と書いたのに途中で「しかし反対意見ももっともだ」と書きすぎると、結局どちらなのか不明瞭になります。両方の立場を議論する設問でも、自分自身の意見や結論を最後にははっきり示すことが大切です。

    • 語数と時間: エッセイは250語以上を書く必要があります。時間は約40分程度配分するのが望ましいです。書き終えたら数分で良いので見直しを行い、スペルミスや文法ミス、語彙の繰り返しすぎなどをチェックできればベストです(時間に余裕があればの話ですが、少なくとも致命的な誤字脱字は確認しましょう)。論理展開と直接の関係はありませんが、途中で時間切れになって結論が書けない…という事態は避けるべく、日頃から40分以内で書き切る練習を繰り返しましょう。

タスク2で論理的なエッセイを書くコツ: 書く前の計画→段落ごとの主題設定→接続詞による論理付け、という手順を習慣化すると、一貫したエッセイを書きやすくなります。母語(日本語)で考える際も「なぜそう思うのか?その結果どうなるのか?」と因果や理由を意識して論理的に組み立てる練習をすると、英語でも論旨を通じやすくなります。また、模範的なエッセイ(バンド7.0以上のサンプルなど)を読んで段落構成論の展開を研究するのも有益です。論理的な文章は読み手にストレスを与えず、試験官へのアピールにもつながります。

高得点を狙う語彙・表現集(言い換えや使える表現)

IELTSライティングで高得点(例えばバンド7.0以上)を取るには、Lexical Resource(語彙力)の面でも評価が高まる必要があります。そのために役立つ言い換え表現使えるフレーズをカテゴリー別にまとめました。適切に使いこなして、単調な表現から脱却しましょう。

  • パラフレーズ(言い換え)に使える表現: 問題文に書かれているキーワードをそのまま繰り返すのではなく、同義の別表現に言い換えることで語彙の豊かさを示せます。例えば important(重要な)を crucial / essential / significant に、problem(問題)を issue / concern に、increase(増加)を rise / growth に、people(人々)を individuals / the public に言い換える、といった具合です。ただし誤用に注意: 言い換えた単語のニュアンスが文脈に合っているか確認しましょう。無理に難解な単語を使う必要はありませんが、同じ語の反復を避ける工夫は必要です。

  • つなぎ表現・接続詞: 論理展開に不可欠な接続表現は豊富に持っておきましょう。同じ「そして」でも Additionally, Furthermore, Moreover と複数知っていれば文章に変化をつけられます。「しかし」は However, Nevertheless, That being said など状況によって使い分けると良いでしょう。「例えば」は For exampleFor instance、「要するに・まとめると」は In conclusion, To sum up といった表現があります。また段落を始める際に First of all, To begin with(第一に)、Secondly, Next(第二に、この次に)など順序立てる表現を使うと、議論の展開が明示的になります。接続詞は使いすぎると冗長になり得るので、適切な位置で効果的に使うように心がけましょう。

  • アカデミックな表現・フレーズ: エッセイではフォーマルかつ客観的な表現が好まれます。主張を述べる際には It is often argued that…(よく…と主張される), Some people claim that…(…と主張する人もいる)などを使い、個人の意見を述べる場合でも In my opinion, …, I firmly believe that … といった婉曲な言い回しをすると文調が整います。また因果関係を示す As a result, Consequently(結果として)、This is because …(なぜなら…)なども使えるでしょう。決まり文句を暗記するだけでは高得点は難しいですが、適切な場面でこうしたフレーズを使うと文章に説得力と流暢さが生まれます。

  • データや傾向の表現 (Task1向け): Task1で数値や傾向を述べる際の表現も整理しておきましょう。増減の表現は先述の通りですが、組み合わせて increase significantly(著しく増加する), decline gradually(徐々に減少する)などとするとより正確に描写できます。最高・最低を述べる peak at, hit a low of や比較を示す larger than, half of, nearly double といった表現も有用です。例:「売上が2000年にピークに達しpeaked at)10億円となり、その後2005年に半分以下に落ち込んだfell to less than half of that)」のように組み合わせます。こうした語彙を適切に使えば、単調な描写から脱して豊かな表現力をアピールできます。

  • 手紙で使える定型表現 (General Task1向け): 手紙文では決まった表現が数多くあります。例えば依頼では Could you please …?, I would be grateful if you could …、謝罪では I am sorry that …, Please accept my apologies for …、感謝では Thank you for …, I truly appreciate … といった表現が使えます。親しい人への手紙なら It’s been a long time since we last spoke.(久しぶりだね)や Can’t wait to see you soon!(会えるのを楽しみにしています)などカジュアルな言い回しもOKです。トーンに合った表現を選び、適宜使えるよう訓練しておきましょう。

これらの語彙・表現はあくまで「引き出し」を増やすためのものです。スコアの高い受験者は豊富な語彙を正確に使い、尚且つ同じ表現の繰り返しを避けている点が特徴です。日頃から読書やニュース視聴を通じて語彙を増やし、それらを実際にライティングで使ってみて定着させましょう。

評価基準(Task Achievement, Coherence and Cohesion, Lexical Resource, Grammatical Range and Accuracy)

IELTSライティングでは、採点にあたり以下の4つの評価基準が用いられます。各基準を理解し、それぞれで高評価を得られる書き方を心がけることがスコアアップにつながります。

  1. タスク達成度(Task Achievement / Task Response)
    与えられた課題にどれだけ適切に対応できているかを評価する項目です。Task Achievementはタスク1に対する評価で、問題で求められた内容(図表の主要な特徴や手紙の指示事項など)を過不足なく含めているか、概観(Overview)が明確に示されているか、といった点が見られます。Task Responseはタスク2(エッセイ)に対する評価で、設問で問われた内容にきちんと答えているか、問いに対する自分の立場や結論が明確か、十分なアイデアの展開や例示で主張をサポートしているか等がチェックされます。両タスクに共通して言えるのは、指示にきちんと答えることが基本であり、例えば語数不足(字数未達)や設問の論点ずれはこの項目で大きな減点となります。

  2. 一貫性と結束性(Coherence & Cohesion)
    文章の論理的な流れまとまりに関する評価です。具体的には、内容が論理的に展開しているか(Coherence)、適切に段落分けされているか、そして接続詞や指示語の使い方で文と文の繋がり(Cohesion)が確保されているか、といった点が採点されます。高評価を得るには、前述したようにエッセイでは導入-本論-結論の構成を守り、段落内もトピックセンテンスから始めて筋道立てて述べること、さらに First, Second, However, Therefore などのつなぎ語を効果的に用いて読解しやすい文章にすることが重要です。また、段落間でアイデアが飛んでいないか、一貫したテーマに沿っているかも確認しましょう。読み手(試験官)がストレスなく内容を追える文章はこの項目で高評価につながります。

  3. 語彙力(Lexical Resource)
    語彙の豊富さと適切さが評価されます。高度な単語を無理に盛り込む必要はありませんが、多彩な言葉を正しく使えていることが求められます。繰り返しになりますが、同じ表現の反復を避け、的確な言い換えができているか、文脈に合ったコロケーション(単語の自然な組み合わせ)が使えているか、といった点がポイントです。またスペルミスが多かったり、単語の使い方を誤っていたりすると減点要因になります。特に日本人受験者の場合、単数・複数や冠詞(a, the)のミス、前置詞の誤用などが頻出するため、普段から注意しましょう。高得点者はトピックに関連する用語を豊富に知っており、それを適切に使いこなすことで高いLexical Resource評価を得ています。

  4. 文法の範囲と正確さ(Grammatical Range & Accuracy)
    文法構造の多様性と文法ミスの少なさが評価対象です。具体的には、様々な文型(単純な文だけでなく複文や複雑な構文など)を使えているか、時制や語順、助動詞などを正確に使っているか、句読点の打ち方は適切か、といった点が見られます。高スコアを得るには、簡単な文だけでなく複合文や関係詞・分詞を用いた高度な構文も織り交ぜ、しかもそれらを誤りなく使うことが理想です。ただし、無理に難解な構文に挑戦して間違えるよりは、確実に書ける文法で正確に表現した方が評価は安定します。平易でも正確な英文を書けるようになったら、徐々に複文を練習してバリエーションを増やすと良いでしょう。文法ミスについては、自分で気づきにくいので、練習の段階で誰かに添削してもらい弱点を把握することも有効です。

以上の4項目はそれぞれバンドスコアが付けられ、その平均がライティングの最終バンドスコアとなります(ただし0.25刻みで四捨五入される計算なので単純平均ではありませんが、均等に近い配点です)。全てを満遍なく伸ばすことが理想ですが、弱点となる項目があるとスコアの足を引っ張ります。例えば文法ミスだらけでは他が良くても高得点は望めませんし、内容が逸れていれば語彙や文法が優れていても評価は上がりません。バランスよくスキルを磨きつつ、特に自分が失点しがちな部分(例:単語のスペルミスが多い、論点がずれやすい等)を重点的に改善しましょう。

よくあるミスと避ける方法

ライティングで陥りがちなミスを把握し、事前に対策しておくこともスコアアップに不可欠です。ここではIELTSライティングで受験者が犯しやすいミスと、その回避策を紹介します。

  • 語数不足: Task1で150語、Task2で250語に満たない回答は大幅減点となります。語数不足は深刻なミスですが、本番では緊張から内容が薄く短くなってしまうことも。対策: 日頃から実際に時間を計って書き、語数をカウントする練習をしてください。自分の書くペースと分量を把握し、「これくらい書けば規定語数に届く」という感覚を掴んでおきましょう。試験中も各段落の長さでだいたいの語数を意識できるとベストです。

  • 課題逸脱(オフトピック): エッセイで質問に正面から答えていなかったり、話がそれてしまうミスです。例えば「利点と欠点を述べよ」という問題で利点ばかり書いて欠点に触れない、などはTask Responseの評価が下がります。対策: 問題文をよく読み、指示されているポイントをチェックリスト化して書き漏らしがないようにしましょう。プランニングの段階で「問われているのは何か?」を自問し、構成を練る癖をつけます。

  • 概要(Overview)抜け: Academicタスク1に特有のミスですが、図表の概要(全体の傾向まとめ)を書かない、あるいは不十分な回答は高得点が望めません。対策: Task1では必ず図表の全体像を示す文(概要)を導入部か直後に書くように決めておきましょう。練習の際にも毎回オーバービューを書く習慣をつけることで、本番でも自然に書けるようになります。

  • 箇条書きの指示漏れ: Generalタスク1の手紙で、指示にあった要素を1つ書き忘れるなどのミスです。対策: 問題用紙上で指示の箇条書きにチェックを入れながら、それぞれに対応する段落を書いたか確認しましょう。3つ指示があれば、最低でも3つの段落(導入/締めは除いて本文部分)を書く、とルール決めすると漏れにくいです。

  • 非公式な表現の誤用: Academicのエッセイやフォーマルな手紙で、口語的・非公式すぎる表現を使ってしまうミスです。たとえばエッセイで kids と書く代わりに children を使うべき場面があります。対策: 普段から書き言葉と話し言葉の違いを意識し、フォーマルな単語・言い回しをストックしておきましょう。また、手紙では相手に合わせたトーン選択が基本ですので、適切でないカジュアル表現を避ける訓練を積むこと。

  • 接続詞や代名詞の多用/誤用: 論理を繋ごうとするあまり Moreover, And, Also を毎文頭に入れて冗長になったり、指示語 this/that が何を指すか不明瞭になるケースです。対策: 接続表現は意味の繋がりに応じて使います。「とにかくたくさん入れれば良い」ものではありません。推敲時に各段落で接続詞が多すぎないか、指示語の指す内容がはっきりしているかチェックしましょう。クリアで簡潔な文章を心掛けることも大切です。

  • 文法ミスの放置: 主語と動詞の不一致(単複)、時制ミス、冠詞の欠落、スペルミスなど基本的な誤りが目立つと、内容が良くてもバンドスコアは伸びません。対策: 書いたあとの見直し時間を確保することが理想です。特にエッセイでは、最後の2~3分でいいので誤字脱字がないか確認しましょう。練習段階では自分の典型的なミスを把握し(例:無冠詞になりやすい、時制が混乱しやすい 等)、チェックリストを作って見直すと良いでしょう。

  • 時間配分ミス: タスク1に時間をかけすぎてタスク2が書き切れない、という配分ミスです。タスク2は配点が高いため、このミスは全体スコアに響きます。対策: 常に時間を意識して練習しましょう。例えば20分経ったら一旦ペンを置きタスク1を切り上げる訓練をし、時間管理の感覚を身につけます。試験本番でも腕時計や画面のタイマーを確認し、適宜ペース配分を調整する習慣を持つことが大事です。

  • 読みづらい文字: (ペーパー試験の場合)急いで書くあまり字が判読困難になると減点リスクがあります。いくら内容が良くても読めなければ評価されません。対策: 普段から丁寧に書くよう意識し、本番でも焦って殴り書きしないようにしましょう。行間を詰めすぎず、消す際もぐちゃぐちゃにせず一重線で消すなど、見た目の整然さも気を配ってください。どうしても筆記が苦手な場合はコンピューター受験も検討しましょう。

これらのミスは、多くの受験者が陥りがちなポイントです。しかし裏を返せば、事前に対策をすれば確実に防げるものでもあります。練習段階で自分の弱点を知り、同じ過ちを本番で繰り返さないよう意識することで、ライティングの質は飛躍的に向上します。

練習問題(AcademicとGeneralの例題、エッセイのお題)

学習内容を定着させるには、実際に練習問題に取り組んでみるのが一番です。以下にIELTSライティングの例題をいくつか紹介します。Academic、General Trainingそれぞれのタスク1と、タスク2エッセイの例題を用意しました。時間を計って書いてみたり、ポイントをメモして構成を考えてみたりと、ぜひ活用してみてください。

Academic タスク1 練習問題例

あなたは以下の情報が載った図表を与えられました。指示に従い、150語以上で情報を要約してください。

問題例:
次のグラフは2010年から2020年にかけてのX国・Y国・Z国の年間観光客数の推移を示しています。与えられたグラフの内容を要約し、主要な特徴を比較しながら報告してください。

(グラフには、2010年から2020年までの各年でX国・Y国・Z国を訪れた観光客の人数が折れ線で示されていると仮定してください。例えばX国は右肩上がりで増加、Y国は横ばい、Z国は途中減少後に増加、など異なるパターンを取っているとします。)

指示:
You should spend about 20 minutes on this task.
Summarize the information by selecting and reporting the main features, and make comparisons where relevant.

General Training タスク1 練習問題例

与えられた状況に基づき、150語以上の英文レターを書いてください。

問題例:
あなたは最近引っ越したばかりで、旧居の大家さんに返却した鍵の件で連絡を取りたいと考えています。以下の内容を含め、元の大家さんに手紙を書きなさい。

  • 引っ越したことと新しい住所の報告

  • 家の鍵を返却できていない理由(例:鍵を誤って手元に持ってきてしまった等)

  • 鍵の返送または受け渡しについて提案(どのように対処したいか)

指示:
You do NOT need to write any addresses.
Begin your letter as follows: Dear … ,

(この問題は、フォーマルな手紙を書くことが想定されます。大家さんに対して丁寧な文体で書き出し、引っ越しの報告と鍵をまだ返せていない事情を説明し、鍵の返却方法について自分から提案をする内容を盛り込んでください。)

ライティング タスク2 (エッセイ) 練習問題例

以下のトピックについて250語以上のエッセイを書いてください。

問題例:
現在、一部の人々は子どもを学校に通わせず**ホームスクーリング(自宅学習)**で教育することが最良だと主張しています。一方で、学校教育こそ子どもの成長に必要だと考える人々もいます。両者の意見について議論し、あなた自身の考えを述べなさい。

指示:
Give reasons for your answer and include any relevant examples from your own knowledge or experience.

(このトピックは「子どもの教育は自宅学習が良いか学校が良いか」というディスカッション形式の問題です。自宅学習の利点・欠点、学校教育の利点・欠点にそれぞれ触れ、公平に議論した上で、自分はどちらを支持するかを明確に示す構成が求められます。)

これらの練習問題に実際に取り組んでみることで、自分の現時点でのライティング力を把握できます。書き上げたら、可能であればIELTS指導経験のある教師や、英語が堪能な友人に見てもらいフィードバックを受けると良いでしょう。自分では気付かなかった改善点が明確になるはずです。

Tips(スコアアップのためのコツや勉強法)

最後に、IELTSライティングのスコアを向上させるための実践的な**Tips(コツ)**や効果的な勉強法を紹介します。日々の学習にぜひ取り入れてみてください。

  1. 定期的に書く練習をする: ライティング力向上の秘訣は、とにかく書いて慣れることです。週に数回でも良いので、実際にタスク1やタスク2の問題を選んで時間内に書いてみましょう。最初は上手く書けなくても、繰り返すうちに文章構成や時間配分の感覚が身についてきます。書いたものは溜めておき、後日見直すことで上達ぶりや課題も客観的に把握できます。

  2. 模範解答・高得点答案を分析する: IELTSの公式素材や参考書にあるバンド7~9の模範解答を読み、良い点を研究しましょう。どんな構成で書かれているか、語彙やフレーズの使い方、段落展開のさせ方など学ぶことは多いです。ただし暗記は禁物です。あくまでヒントを得るために分析し、自分ならどう書くかを考える訓練につなげます。

  3. フィードバックを活用する: 自分の作文を第三者にチェックしてもらいましょう。語彙の誤用や文法ミス、論理の飛躍など、自分では気付きにくい点を指摘してもらうことで効率よく改善できます。もし指導者がいなければ、オンラインのライティング添削サービスを利用するのも一手です。指摘を受けた箇所はノートにまとめ、次回以降意識して直すようにしましょう。

  4. 語彙を増やしアウトプットで定着: 語彙力強化には単語帳だけでなく、読解とアウトプットが有効です。新聞記事やIELTSのReading教材などを読み、使えそうな表現に出会ったらメモします。それらを実際に自分のライティングで使ってみて、使い方を体得しましょう。例えば環境問題の記事で sustainable energy という表現を知ったら、Writingで環境トピックが出たときに使ってみる、という具合です。覚えた単語・フレーズは書いてみて初めて自分のものになります

  5. 文法基礎をおろそかにしない: 難しい構文よりもまず基本的な文法の正確さを固めましょう。中級文法まで網羅した問題集を一冊仕上げる、英文法の参考書で弱点単元を復習するなど、地道な取り組みがスコアアップの土台を作ります。特に冠詞・前置詞・時制・主述の一致などは、日本語話者が誤りやすいポイントなので重点的に練習を。

  6. 時間管理スキルを養う: ライティングセクションでは時間との戦いでもあります。普段からタスク1は20分、タスク2は40分で書くシミュレーションをしてください。試験本番と同じ環境で、できればタイマーを使って練習するのがおすすめです。徐々にプレッシャー下でも予定通り書けるようになり、自信につながります。

  7. 他セクションの学習も活かす: リーディングやリスニングで学んだフレーズや知識は、ライティングでも活用できます。リーディング文章からアカデミックな言い回しを学んだり、スピーキング練習で出てきたトピック表現をライティングに転用したりと、セクション横断的に学習すると効率的です。IELTSは総合力の試験なので、他の技能強化が間接的にライティング力向上に寄与することも覚えておきましょう。

  8. メンタル・体調管理: 試験当日に実力を十分発揮するには、メンタルと体調も大事です。特にライティングは最後のセクション(※リスニング->リーディング->ライティングの順に実施、スピーキングは別日)なので、疲労が出てきます。日頃から長文を書いても集中力を維持できるよう訓練し、本番前日はしっかり睡眠を取るなどコンディションを整えましょう。直前に軽く英語で日記を書くなどウォーミングアップしておくのも緊張緩和に役立ちます。

これらのTipsを実践することで、少しずつではありますが確実にライティングのスキルは向上していきます。一朝一夕で劇的にスコアが伸びることは稀ですが、継続した努力正しい方向の対策によって目標のスコアに近づいていけるでしょう。

まとめ

IELTSライティングでスコアアップを実現するためには、試験の形式や評価基準を正しく理解し、それに沿った対策を講じることが重要です。本記事では、AcademicとGeneral Trainingの違いから各タスクの攻略法、エッセイ構成のポイント、高得点を狙うための語彙表現、評価基準の解説、陥りやすいミスとその回避策、そして練習問題と学習のコツまで網羅的に紹介しました。

ライティング力は一朝一夕には伸びませんが、正しい方向で継続すれば必ず上達します。まずは自分の弱点を知ることから始め、上記のTipsも参考に日々トレーニングを積んでください。練習問題に取り組み、本番同様に書いてみることで、自信と実力が備わっていきます。また、達成したいスコアを明確にイメージし、そのギャップを埋めるために何が必要か逆算して学習計画を立てることも有効です。

最後になりますが、IELTSライティングで高得点を取ることは、留学やキャリアの夢に近づく大きな一歩です。本記事の内容を参考に、ぜひ今日から実践を始めてみてください。継続的な努力と適切な対策で、あなたのライティングスコアはきっと向上するはずです。健闘を祈ります!

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で