プリスクール選びは「保育」と「英語学習」のバランスが重要
「英語学習は何歳から始めるべき?」という議論は以前からありますが、家庭によって状況は違うので、◯歳はまだ早い・◯歳はもう遅いと一概に語ることはできません。ただ一つ、英語学習をスタートする段階で重要だと思うことがあります。「どんなふうに英語と出会ったか」です。
現在5歳の娘は、2歳半のころ英語と出会いました。わが家の場合、海外への移住・出張・留学等の予定はなかったので、長男と同様、母語である日本語の土台がしっかりしてきたら、英語学習を始めたいと考えていました。それが、転居をきっかけに、とつぜん必要に迫られることになろうとは……。
私の夫は会社員で、平日はほぼワンオペ育児。私は長男を幼稚園の預かり保育に、長女は0歳から認証保育園に預けてフリーランスとして働いてきました。そして、娘が2歳半のころ引っ越しをしたのですが、転居先では保育園に預けることができなかったのです。
悩んだ末にたどり着いた答えが、プリスクールに通わせることでした。保育園のように「1日8時間×週5日」という縛りがなく、「1日4時間×週4日」「1日6時間×週3日」などのように、時間や曜日を比較的自由に選択できるスクールが多いからです。
じつは、今回ご紹介するSUI International Preschoolに通う前に、別のプリスクールに少しだけ通ったのですが、すぐにトラブルが発生。迎えに行くたびに、娘がどんよりと暗い表情をしているのです。理由を探ってみたところ、①自由に遊べない(興味がなくてもイスに座ってプリントに取り組まなければならない)②屋外で思いっきりからだを動かせる時間がほとんどない、とのこと。
家庭としては、英語の習得よりも、安心して楽しく過ごせるかどうかを最優先に考えていたので、何度か先生に相談してみましたが、そのプリスクールは「気分が乗らなければ、プリントに取り組まなくてもまったくOK!」という雰囲気ではなさそうでした。
「最初はどのお子さんも困惑しますが、数ヶ月もすればすっかり慣れますよ」と励ましてもらったものの、無理強いをすると英語が嫌いになってしまいそうだったので、そのプリスクールはすぐに退会。未就学児を対象に英語で保育を行うプリスクールを選ぶ際は、「保育」と「英語学習」のバランス感覚が家庭と一致しているかどうか慎重に検討するべきだと痛感しました。
安心できれば、ことばの意味が分からなくても楽しめる
仕事を辞めるわけにもいかず困り果てていた矢先に見つけたのが、SUI International Preschool(以下、SUI)でした。英語学習ありきではなく、子どもの心身の発達に寄り添いながら、英語に触れる機会を提供するというコンセプトに安心感を覚えました。
娘と初めてSUIを訪れた日のことは、今でも鮮明に覚えています。先生たちはみな、娘が先生の話を聞いていなくても一切とがめず、むしろ娘が興味を示したおもちゃをもっと楽しむ方法を笑顔で教えてくれました。娘が安心し、先生たちに心を開いたのが手にとるように分かりました。体験終了後、「またここに来たい!」という一言を聞いて、胸をなでおろしたのを覚えています。
SUIのプログラムは1日4時間。基本的には、個人の興味を掘り下げて遊ぶ「ワークタイム」と、音楽・運動・おはなし・ゲームなどグループで活動する「サークルタイム」に分かれています。しかし、他の遊びに夢中になっている子、不安で泣いてしまう子、甘えたくて困らせようとする子、疲れて寝てしまう子などには、無理強いせず、柔軟に寄り添ってくれます。
子どもたちは、絶対的に安心できる環境だと分かると、感性に任せていろいろなことに興味を持ち、どんどん吸収していきます。ことばの意味を知っているかどうかは、とくに問題ではありません。要は、「楽しいと感じるかどうか」なのです。
SUIでは、音楽や絵本などをきっかけに自然科学・算数・社会など様々なことへの興味・関心につながる種まきのようなプログラムをたくさん用意してくれています。やりとりはすべて英語ですが、写真やイラスト、実物を手がかりにニュアンスが通じるような工夫をきめ細かくしてくれるので、ことばの意味が分からないという不安は、次第に薄らいできます。
かくして2歳半の娘は1日4時間×週4日、英語環境で過ごす生活にすんなりと溶け込んでいったのでした。娘にとって理想的な「英語との出会い」だったと感じています。
アート活動で身についた間違いを恐れないマインド
そんなSUIの最大の魅力は何か。私は、迷いなく「アート活動」と答えます。SUIでは、絵画・工作・手芸など、毎日楽しい創作活動が行われます。道具や材料はいたって普通のものですが、色・かたち・大きさ・レイアウトなど、子どもたちが自由な感性で創作することをゴールにしているので、出来上がりを見ると「同じ材料・モチーフでも、こんなに違う作品になるのね!」と驚きます。アート活動に模範解答はないのです。
そのような自己表現が「当たり前」になると、ことばによる自己表現(発言)も自由にできるようになります。他の子と違う発言をするのは「当たり前」。答えは一人ひとり違うので、そもそも正解・不正解を気にする必要がありません。スクール全体が「間違い?それって、なあに?」という雰囲気なのです。
サークルタイムでは、その日の日付や天気を確認したり、歌を歌ったり、絵本を読んだり、ゲームをしたり、先生と子どもたちが英語でやりとりする場面が多々ありますが、堂々と英語で答える子、堂々と日本語で答える子、堂々と教室の外に飛び出す子、堂々と違う遊びを始める子が伸び伸びと共存している光景は、まさに目からウロコでした。
単語の意味は忘れても、楽しかった記憶は残る
英語に限らず、興味・関心は強制できるものではありません。しかし、本人がひとたび興味・関心を抱くと、驚くほどの速さで吸収していきます。1日4時間×週4日、ある程度まとまった時間を安心できる英語環境で過ごすうちに、娘はすっかり英語でのやりとりに慣れ、みずから進んで発言するまでに成長。簡単な単語やフレーズも、お気に入りの歌や絵本を通して吸収していました。
SUIにはキンダーガーテンもあります。本人も心から楽しんでいたので、継続して通うか随分悩みましたが、当時のキンダースクールは在籍児童数が10人程度だったこと、園庭がなく日中の運動量が少なかったことから断念(SUIはマンションのワンフロアでプリスクールとキンダーガーテンを時間差で運営。体育指導は別の場所を借りて実施)。幼稚園降園後に通えるキンダークラス(週1または週2)の利用も検討しましたが、1時間45分と長いため、まずは幼稚園生活に慣れることを優先し、SUIは卒園することにしました。
ちなみに、SUIで自然に使っていた英語は、2年経った今、きれいさっぱり忘れてしまったようです。残念ではありますが、子どもが英語を楽しんで身につけていく様子を目の当たりにできたことは、親として一生ものの学びでした。子どもだけではなく、親にも親身に寄り添ってくれたSUIには、卒園した今も心から感謝しています。
SUI International Preschoolについて
曜日:火・水・木・金
時間:9:30〜13:30(4時間・週2〜4日)
対象:2〜3歳児(未就園児)
費用:入会金40,000円、年間経費25,000円
週2日35,200円〜(半日クラスは週2日31,900円〜) ※上記は2022年度の情報です。詳細は公式サイトでご確認ください。