海外で開催される試合に参加するために世界中を飛び回るプロスポーツ選手たち。試合後のインタビューなどで流暢な英語を披露する人も少なくないですよね。ジュニア時代から世界での活躍を見据えて語学を勉強する選手もいるようです。
男子テニス界で活躍する錦織圭選手も、試合後のインタビューを英語で受けているのを頻繁に見ますよね。錦織選手はまだ中学生という早い時期に単身アメリカにテニス留学をしたことは有名ですが、現在のような英語力はいつどこで身につけたのでしょうか。
◆錦織圭選手プロフィール
1989年12月29日生まれ
島根県出身
青森山田高校卒(通信制東京校)
5歳でテニスを始める。
2001年5月、全国選抜ジュニア選手権で優勝し、同年7月全国小学生大会、8月全日本ジュニア12歳以下で優勝。史上5人目となる全国制覇3冠を達成。
2003年、(財)盛田正明テニスファンドの強化選手に選ばれ、フロリダのIMGアカデミーにテニス留学。その後、フロリダを拠点に世界を転戦。
2007年10月のジャパンオープンでプロに転向。
2016年リオオリンピックでは日本勢として96年振りとなるメダル(銅)を獲得。その後の全米オープン準決勝に進出、3年連続でATPワールドツアーファイナルズ出場など世界のトッププレーヤーの地位を不動のものにしている。
世界ランクは最高4位。 現在はフロリダ州に住み、IMGアカデミーを練習拠点としている。
錦織選手の英語力はどのくらい?
では錦織選手の実際のインタビューをいくつか見てみましょう。
◆2011年
◆2015年
◆2019年
2011年のインタビューでも問題なく受け答えできていますが、2015年、2019年の方が英語力がアップしているのがうかがえますね。
錦織選手の留学先、IMGアカデミーってどんなところ?
ほぼ英語が話せなかった13歳の錦織選手が留学したのがフロリダ州ブラデントンにあるIMGアカデミー。どんな場所なのでしょうか。
IMGアカデミーの前身は、アメリカ出身のニック・ボロテリーが創設したテニスアカデミー。そこを1987年にIMGが買収し現在のIMGアカデミーとなりました。600エーカー(東京ドーム約52個分)という広大な敷地。スポーツ選手の育成とパフォーマンス向上のための業界リーダーとして、進化と拡大を続けています。
IMGアカデミーではテニスのほかにも野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、ゴルフ、サッカー、ラクロスや陸上競技などの充実した施設があり、学生アスリートたちが共に寮生活を送りながら練習に励んでいます。世界約80カ国から学生が集まるアカデミーでは、コミュニケーションをとるためには必然的に英語力が必要になります。
IMGアカデミーは多くのプロスポーツ選手を輩出してきたため、スポーツ専門のアカデミーだと思われがちですが実は中高一貫の私立学校で、学生には勉強とスポーツ、文武両道が求められます。アメリカの大学への進学率は9割を超えるということなので、アスリートとしても学生としても学生たちは頑張っているということが分かりますね。では中学2年生まで日本で生活していた錦織選手、英語力はどうだったのでしょうか。
錦織選手、実は中学校も高校も日本の学校を卒業しています。中学校は地元島根県松江市にある私立開星中学、高校は私立青森山田高校(通信制東京校)です。どちらもスポーツの強豪校として有名な学校。ジュニア選手のためのサポート体制が整っているので、錦織選手はアメリカのIMGアカデミーでテニスをしながら日本の学校を卒業できたのです。 英語で授業を受ける必要はありませんでしたが、コーチとの会話や日常生活はもちろん英語なので、日本語が通じることはありません。そのため英語力は必要不可欠なものでした。
錦織選手が教える英語上達の秘訣とは?
もしあなたが日本の小学校、中学校に通っていて、英語も話せないまま急に一人でアメリカの寄宿学校に行くことになったら…。想像しただけで不安になりますよね。錦織選手はまさにこの状況でアメリカに渡りました。渡米した時には他に2人の日本人も一緒だったそうですが、2年後に2人は帰国してしまい日本人は錦織選手たった一人になってしまいました。テニスを頑張るという強い意志をもってやってきたものの、やはり日本人がたった一人というのは不安ですよね。
2008年放送のテレビ番組で当時のことをこのように言っています。
「外人の人たちは背が大きいし、それだけでも威圧されるんですけど。言葉が通じないっていうのもあるし、そこでいたずらをされたり、わけも分からなく怒られたり、というのはありましたね。」
IMGアカデミーには世界中からアスリートがやってきます。英語圏からではない選手たちのためにESLのクラスもあるので、受講することで英語の勉強はできます。しかしクラス以外に、日本人たった一人になってしまった錦織選手に救世主が現れます!
カナダ人のフィリップ・ベスター選手が新しく入学してきたのです。フィリップ選手とルームメイトになったことで、積極的に彼とコミュニケーションをとり英語力をつけていきました。部屋での生活だけでなく練習も一緒にすることが多かったそうです。日本人が錦織選手ひとりになったということも、淋しさや不安で大変だったでしょうが英語を話さなくてはいけない環境になったという点ではよかったのかもしれませんね。英語上達の秘訣として、「できるだけ多く英語に触れる」と言っていた錦織選手。フィリップ選手がルームメイトになったことでまさに24時間英語生活になりました。ちなみにフィリップ選手は2017年に引退されています。
アメリカに長くいても英語が話せるようになるわけではありません。しゃべれないなりにジェスチャーや表情なども織り交ぜながら、積極的に話しかけるということが英語力アップには重要です。しゃべれないからと黙っていてはずっとそのままです。(通じなかったらどうしよう)と心配するよりも(通じなかったのはなぜだ?)と違う表現方法を探すきっかけになる方が一歩前進しますよね。 きっと中学生の錦織選手も通じない悔しい思いを繰り返しながら今の英語力を身に着け、世界で活躍しているのだと思います。
日本人初の快挙を次々と成し遂げた錦織選手はたくさんのメディアで取り上げられ、その英語力は多くの人が知っています。
こんなツイートをする人も。錦織選手のインタビューが英語学習のきっかけになることもありそうですね。
復帰後の錦織選手を応援しましょう!
2022年1月に左ひざの手術を受けた錦織選手。順調に回復している様子をシェアしてくれています。今後の活躍はもちろんですが、試合後のインタビューにもぜひ注目していきたいですね!