日本語を使う上でカタカナ英語(外来語)は欠かせない存在となっていますよね。
カタカナ英語には、「テレビ」や「バス」といった昔から使われているものから、「エビデンス」や「アジェンダ」といった、ここ数年で耳にするようになってきたもの等があり、カタカナ語辞典が作れる程、数は多くあります。
こういったカタカナ英語ですが、英語から来たカタカナ英語をそのまま英単語として使った場合、問題なく通じるのでしょうか。
発音は若干異なっても、そのまま通じるものは多くあります。しかし、意味が異なり通じない、または誤解が生じてしまうものも多くあるのです。
この記事では、よく耳にするカタカナ英語の中から、そのまま使ってしまうと危険な単語を5つ紹介します。
「そのまま使ってた!」というものがあったら、正しい単語を覚えて、次回からは注意して使うようにしましょう!
クレーム
1つ目のカタカナ英語は、「クレーム」です。
「苦情処理」を「クレーム処理」と言ったり、苦情を言う人を「クレーマー」と言う等、毎日のように耳にする単語ですよね。出来れば聞きたくない単語ですが、残念ながらこの単語を耳にしない日はないくらいです。
しかし、この「クレーム」というカタカナ英語は、実は英語で「苦情」と言う際には使わないのです。
「クレーム」は英語のclaimから来ています。この単語は、名詞と動詞の両方として使えますが、動詞の場合、「(権利などを)主張する」や「(何かを当然のこととして)要求や請求する」といった意味になります。
少し硬い単語ですね。
ちなみに、懸賞等で当たったものを受け取る際には、下記の例のようにclaimを使います。
To claim your prize, contact us within 10 days.
(商品を得るためには、10日以内にご連絡ください)
では、「苦情」という意味の「クレーム」と英語で言うには何と言ったら良いのでしょうか。
答えはcomplaintです。また、「苦情を言う」という動詞として使う場合、complainを選択しましょう。
サラリーマン・OL
2つ目の単語は「サラリーマン」と「OL」です。
両方とも日本人であれば誰でも知っている単語ですね。
サラリーマンは、給与の意味を持つsalaryに、男性のmanを付けた単語です。
OLは、office ladyの略ですね。
英語を話す人からすると、「サラリーマン」は「給与の男」、office ladyは「会社の女性」のように聞こえてしまい、意味が分かりません。
私の同僚のアメリカ人も、変なカタカナ英語を取り上げる際には、必ずといって良いほどこの2つの単語を取り上げます。
特にアメリカでは、性別で分ける単語を無くす流れになっているので、こういった-manや-woman, -ladyといった単語は、別の単語に置き換えられるようになっています。
例えば警察官はpolicemanからpolice officerへ、消防士はfiremanからfirefighterとなっています。
そもそも英語では「サラリーマン」と「OL」とは言いませんが、これらを通じる英単語にした場合、businesspersonやoffice workerと言います。
以前はbusinessmanとも言われていましたが、上記の理由から、今ではbusinesspersonとなっています。
フリーダイヤル・フリーコール
3つ目は「フリーダイヤル」です。
これは通話料無料でお客様窓口等に電話が出来る番号の事を指しますね。
この「フリーダイヤル」ですが、もし英語を話す人が聞いた場合、多くの人は、「自由な通話」と理解します。
よって、「電話って自由に出来るものじゃないの?」といった感じで冗談のように言われてしまう事が考えられますね。
この単語はどのように言えば良いか分かりますか?
少し難しいかもしれませんが、英語では、toll-free numberと言います。
「〇〇がない」という意味で、ストレスフリーのように、「〇〇フリー」と言う事がありますよね。
「フリーダイヤル」も、その形を使って、「通話料無料の番号」と言う事が出来ます。
ちなみにこのtollは、高速道路を利用する際の通行料金を意味しますが、toll-free numberの場合、通話料という意味で使われます。
電話料金は、通常phone billと言います。
マンション
4つ目のカタカナ英語は、「マンション」です!
これを聞くと、「高層マンション」や「タワーマンション」とあるように、住戸数の多い高層の集合住宅を連想する方が多いのではないでしょうか。
この単語は英語のmansionから来ていて、英語でmansionと言えば、単語としては通じます。
しかし、英語のmansionとカタカナ英語のマンションでは意味が違うので注意しましょう!
mansionの意味は、「豪邸」です。
ディズニーランドにホーンテッドマンションというアトラクションがありますが、あれは「取りつかれた豪邸」という意味があるんです。
なので、もし海外の方に、「東京のマンションに住んでるんだよね」と言った場合、Wow!と言った反応が返ってきてしまいます。
賃貸の集合住宅と言う場合、apartment(一戸)またはapartment building(建物全体)と言いましょう!分譲の場合には、condominium(短くしてcondo)と言う事が出来ます。
アバウト
最後のカタカナ英語は、「アバウト」です。
「なんかちょっとアバウトだよね」といった感じで、「曖昧」や「ザックリ」といった意味で使うカタカナ英語ですね。
これは英単語のaboutから来ているのですが、aboutは前置詞なので、「アバウトだよね」と言った場合、英語では、It’s aboutとなってしまい、相手には、about what?(何について?)と聞き返されてしまいます。
日本語のアバウトは、「~について」ではなく、「約」や「大体」の意味から来ている事が考えられますが、それでも英語を話す人からすると意味が分からない使い方になってしまいます。
英語で言う場合には、内容によって単語を変える必要がありますが、「おおざっぱ」という意味であればrough、「おおまかな」という意味であればgeneralといった形容詞を使い、それらと一緒にidea(案)やconcept(概念)といった名詞を使うようにしましょう。
もし「漠然とした」という意味で使いたい場合には、It’s vagueのように言う事も出来ます。
いずれにしても、カタカナ英語の感覚でIt’s about.とは言えないので注意しましょうね。
その他の注意点
最後に、別の観点から見たカタカナ英語の注意点についてお伝えします。
私はサッカーが大好きなので、よく日本語の実況でサッカーの試合を観ます。
当然ながらサッカーは海外から入って来たスポーツのため、カタカナ英語(または英語以外の言語の外来語)が多く使われています。
そういった単語の中には、「それは英語としてそのまま使ったらおかしいよ」というものもあります。
そのように思う理由には2つあります。
1つは品詞の間違いで、2つ目は読み方の間違いです。
品詞の間違い
1つ目の例ですが、時々「あれが、このチームのストロングですね」というような実況を聞く事があります。
何が間違っているか分かりますか?
そうです。品詞ですね。
「このチームのストロングです」と言った場合、ストロングは名詞である必要があります。しかし、ストロングは形容詞です。
本来であれば、strengthという名詞を使うので、ストレングスにすべきなのです。
このように品詞が間違ったカタカナ英語を使っていた場合、英語を話そうとした時にもIt’s his strong.のように完全に間違った英文を作ってしまいそうですね。
これは本当に注意が必要です。
読み方の間違い
英単語をそのままカタカナ読みにする事が難しいのは分かります。
しかし、明らかに違う読み方をするのは、更に誤解を増やすだけです。
「陣営」という意味で、スカッドという単語をサッカーでも使っていますが、これは言い方で完全に間違っています。
英語で綴るとsquadとなります。このsquのuは「ウ」と発音する必要があり、「スカッド」のように、アと発音してはいけないのです。
四角形や広場を意味するsquareも「スカー」と言わずにqとuを合わせて「ク」となり、「スクエア」と発音します。
イカもquを一緒に発音して、「スクィッド」となり、「スキッド」とは言いません。
よって、squadは、スカッドではなく、「スクアッド」と言います。
カタカタ英語を使うにしても、正しい読み方に注意する必要があります。
ただ、間違った言い方が浸透してしまっていると難しいというのはありますよね。
まとめ
今回はよく使うカタカナ英語を5つ紹介しました。
結構そのまま英語として使っていた単語もあったのではないでしょうか。
英語を使う際には、カタカナ英語が必ずしもそのまま使えると思わず、少しでも自信がないものは調べてみるようにしましょう。
他にもそのまま使うと通じなかったり、誤解して伝わってしまうカタカナ英語は多くあるので注意してくださいね。