単語やフレーズは知っているけどなかなか使いこなせない・・・
頭では言いたいことが分かっているのに、口から英語が出てこない・・・。スピーキング力を鍛えるにはどうしたら良いのだろう。
皆さんは、こんな悩みを抱えていませんか?
英語学習において、単語や文法など知識のインプット重視になってしまっていませんか?とはいっても、英会話レッスンをたくさん受けるには時間もお金もかかりますよね。
この記事では、プロの英語講師が教える「スピーキング力の鍛え方」を3つご紹介。 どれもスピーキング力をつけるにはとても効果的な方法です。ぜひ試してみてくださいね。それではまずは1つ目の方法を見てみましょう。
瞬間英作文のすすめ
1つ目の方法としておすすめしたいのが『瞬間英作文』です!
まずは、瞬間英作文について、その効果的とされる理由も合わせてご紹介します。
トレーニング方法とポイントも分かりやすく説明します。ぜひ記事を読みながら取り組んでみてくださいね!
それでは早速見ていきましょう。
おすすめ教材
瞬間英作文をするには、教材が必要です。そこで筆者がおすすめするのは、「どんどん話すため 瞬間英作文 トレーニング」。猫のイラストが特徴的な表紙の教材です。
おすすめする理由はその使いやすさ。そして中学校の文法を使いながらスピーキング力を鍛えることができることです。
この教材はPart1~Part3の構成になっています。
Part1では中学校1年生の文法
Part2では中学校2年生の文法
Part3では中学校3の文法
を使った英作文をします。
それぞれの文法事項ごとに日本語の文があり、それを読み自身で瞬間英作文をします。その後解答例を見て確認することができます。
また、この教材の素晴らしい点はCDが付属している点。日本語文→ポーズ→英文という順に収録されています。
そのため、目で瞬間英作文のトレーニングを行うことができます。さらに外出先でのトレーニングも可能です。耳から情報を入れてスピーキングにつなげたいという方にも、とても嬉しい教材です。
おすすめの教材ではありますが、もちろん学習者にとってベストな教材は自分の目で見て使いやすいと思うものです。
他にも瞬間英作文の教材はあるので、こちらの教材も含め、教材を選ぶ際には、書店に足を運んで選ぶようにしてみてくださいね。
そもそも瞬間英作文って?
瞬間英作文とは、「頭に浮かんだ日本語、もしくは与えられた日本語の文章を瞬時に英語にするトレーニング法」のことを指します。
例えば「これは私のペンです」という文であれば、”This is my pen” のように、比較的簡単な文をなるべく早く英語化していきます。
スピーディーに英語で文を組み立てる瞬発力を鍛えることを目的としたトレーニングなので、大体5秒以内を目安に、完璧な文でなくてもいいので、繰り返し行うことと声を出すことが大切です。
瞬間英作文はなぜ効果的なの?
私たちが英語で話すときには、3つのことが頭の中で行われています。
① 頭の中で言いたいことをイメージする
② イメージした内容を英語の文章にする
③ 文章化した英語を声に出す
冒頭であげたような悩みを抱える人には、ステップ①ができても、②と③でつまづいてしまうパターンが多くみられます。
瞬間英作文はステップ②の文章化を鍛えるトレーニングであり、瞬時に英文をつくることができると英会話力UPにもつながる。そのため、スピーキングに効果的な勉強法なのです。
瞬間英作文のやり方
次に『どんどん話すための瞬間英作文 トレーニング』を使った実際のトレーニング方法を、5つのステップで紹介します。
- 日本語を読み、英訳する
まずは自分が知っている英語で文章を組み立てます。間違っていてもOK!瞬時に考えて文をつくるプロセスが何より大切です。
- 答えを見て、文法・単語を理解する
1)で言えなかった部分を一つずつ確認することで、より記憶に定着しやすくなります。
- 英文を見ながら音読する (3回)
- 英文を見ずに、日本語を見ながら、英語で声に出す
完璧に覚えなくても大丈夫です
- 1)から4)を繰り返す
トレーニングの際に気をつけたいポイントを2つ押さえおきましょう。
まず1つ目が、センテンスの丸暗記をしないこと。
ただ英文を暗記してインプットするのではなく、英語の構造を把握して瞬時に英語で文をつくることが重要です。
短期記憶として脳に取りこまれた暗記した文は、時間とともに忘れてしまうため、あまり意味がありません。
そして2つ目が、教材を1周で終わらせないこと。
同じ文でも、何度も繰り返し行うことで瞬発力UPにつながります。リズムよく英文をつくれるようになるまで、少なくとも教材を3周はするように心がけましょう。
真似のススメ
2つ目のスピーキング力を鍛えるための勉強法は、「真似をする」です。
言語を習得する際に、特に最初の頃に大切なことは、基礎(ルール)を理解し、単語や表現を増やすこと、そして同時に真似をするということです。
特にスピーキング力を鍛えたい学習者には、この「真似」がとにかく大切です。
真似がおすすめの理由
知識をどれだけインプットしても、それを使えるようにするアウトプットが出来なければ、スピーキング力を上げることはかなり難しいと言えます。
しかし、いきなり話そうとしても、それは無理な話ですよね。
これは筆者の経験談ですが、英語学習を始めた頃、当然ながら全くもって英語を話すことは出来ませんでした。
日本語で考えた文を英語にしようにも、英文を作るだけの知識もなかったので、話すことは不可能に思えました。
そこで何をやったかというと、文法の知識を身につけながらも、話す練習として、ひたすら人の真似をして行いました。
誰かが言った英語だったり、あるいはテープを聞いて(その頃はまだカセットテープの時代でした。。。)、ひたすら声に出して練習していました。テープの場合は、大体スクリプトはありました。
全然意味が分からないこともありましたが、調べられる場合、その都度単語を調べたりしながら、とにかく誰かの英語を真似して声に出して練習しました。
英語を聞いて、真似し、分からないものは調べる。そしてまた聞いて真似をするということを続けているうちに、徐々に英語で話すことが身についていきました。
まずは知識を身につけてからと思いがちですが、真似をしながら話す練習を早い段階から行うことで、より効率的にスピーキング力を鍛えることが出来ます。
真似によって得られる効果
真似をすることで、スピーキング力において得られるものは多くあります。
下記に3つ例を挙げてみます。
① 英語の発音や音の変化に慣れる
② 英文の形が身につく
③ 英語を話すことに自信がつく
他にもありますが、筆者がまず頭に浮かぶ大きな効果はこれらです。
① 英語の発音や音の変化に慣れる
発音や音の変化は、スピーキング力を上げる上でとても大切ですね。
英語の発音矯正は、大人になるととても難しいと言えます。しかし、ひたすら英語を真似することで、その音に限りなく近づくことも可能です。
筆者の知り合いには、大人になってからNHKのラジオ講座を毎日声に出して真似した結果、それこそネイティブのような発音で英語を話せるようになった人を知っています。
もちろんそれには相当の時間と努力が必要となりますが、真似をすることによって、発音が奇麗になる証拠でもありました。
また、英語を聞いた時、何を言っているか分からなかったが、目で見たら分かったという経験をした方も多いのではないでしょうか?
その原因には、英語の音の変化が挙げられます。
音の変化の代表的なものに、下記の音の「脱落」や「連結」があります。
音の「脱落」は、音の組み合わせにより、音が落ちるというものです。
下記の例文を見てみましょう。
I need to buy milk.
(牛乳を買う必要がある)
needは子音で終わっていて、toは子音で始まっていますよね。
このように、子音と子音が隣り合わせになった場合、前の子音の音が落ちるという「脱落」という現象が起こります。
よって、これを言った場合、「アイ・ニード・トゥー」ではなく、「アイ・ニー・トゥー」のようになります。
音の「連結」は、逆に音がつながるというものです。
下記の例で確認してみましょう。
Let’s take another dish.
(もう一皿(料理を)持って行きましょう)
ここでは、子音で終わっているtakeという単語と、母音のanotherが並んでいますね。子音で終わる単語の後に母音で始まる単語が続いた場合、これらの音はつながります。
take anotherは、「テイク・アナザー」ではなく、「テイカナザー」と聞こえます。
※takeは母音のeで終わっていますが、綴りではなく、音が子音か母音かで判断するので注意しましょう。
こういった音の変化は、実際に自分が言えないと気付かないことが多く、気付かないということは聞き取れないとも言えます。
よって、真似をすることで、こういった音の変化にも話す際に対応が出来るようになり、スピーキング力の向上、そしてリスニング力の向上にもつながります。
② 英文の形が身につく
1つ目の勉強法の「瞬間英作文」のように、日本語の文章を参考に、英作文することも英文の形を身につける上で効果的です。
同時に、真似をすることで、感覚的に英文の形を身につけることが出来るようになります。
英作文をしても、場合によってはそれが自然な英文の形か分からない可能性もありますよね。
しかし、多くの文を真似することで、「あ、この文の形、前に真似した文の中にあった」と気付けるようなことも増えてきます。
真似をすることの効果として、こういった感覚的に英文の形が記憶に残っていくというものがあります。
③ 英語を話すことに自信がつく
もう1つの効果としては、自信がつくということです。
日本人の英語学習者の多くは、知識はあるけれども、話すことをためらってしまうという方が多くいます。
いくつか理由がありますが、そのうちの一つが、英語を話すことに慣れていなくて恥ずかしく思ってしまうという点です。
これは性格的な部分も少なからず関係していますが、日頃から英語を話すことに慣れていないと「大丈夫かな?通じるかな」と不安になってしまいます。
例えば、今まで英語を使っていたという方であっても、コロナ禍で全く英語を話さなくなってしまって、久しぶりに英語を話すことになった場合、久しぶり過ぎて不安になってしまう可能性もありますよね。
英語学習者の中には、今まで英語を会話で使ったことがないという方もいるでしょう。
そういった方は、真似をすることで、声に出すことはしているので、自信満々とまではならないとは思いますが、話す準備をしてきたことに対して自信を持てると思います。
そして、もし真似をするという練習を行っていて、実際に英語を話した時に「通じた」という経験が出来れば、その自信は更に上がっていくでしょう。
初級者~中級者の学習方法
「真似をする」場合、注意点があります。
それは、何を真似するかという点です。
初級者~中級者の方に、海外の有名人のスピーチやプレゼンテーションを真似することは絶対におすすめしません。
それは単純にそれらのスピーチやプレゼンテーションで使われている英語のレベルが、学習者が習得すべき英語(単語や表現方法)と全く異なるからです。
初級者~中級者は、音読用の教材や英語圏の小学生用の物語を聞いて真似すると良いでしょう。YouTube等、インターネット上にも、英語学習者用の簡単な英語スピーチ等もあるので、そういったものを使っても良いですよ。
真似をする際の方法は下記のように簡単です。
①最初にスクリプトで内容と分からない単語等は確認する
②音声を聞いて、真似をする
③発音や音の変化を意識してスラスラ言えるまで真似をする
これだけです。
とにかく音声と同じように言えるように、カラオケで歌手と全く同じように歌えるようになるような感覚で真似するようにしましょう。
上級者の学習方法
上級者にも真似をするということは効果的です。
ただ、簡単すぎるものを真似しても、あまり効果はないと言えます。
上級者の場合、有名人のスピーチやプレゼンテーションをTED等で聞いて真似しても良いでしょう。
ただ、こういったものは、結構長いものが多いので、途中で切って練習するというようにしても良いでしょう。
また、筆者がおすすめするのは、映画やドラマのワンシーンを真似するというものです。好きな映画やドラマを使うとやる気も上がるので、習慣化しやすいというメリットもあります。
好きな映画のワンシーンを、そこに登場する俳優になりきって真似しても良いですよね。
ちなみに上級者が真似をする場合でも、やり方は初級者~中級者の学習方法と同じです。
真似をすることで、スピーキング力を鍛えることが出来るので、ぜひ楽しみながらやってみてくださいね。
ひとり言のススメ
スピーキング力を鍛えたい学習者におすすめの3つ目の勉強方法をご紹介します。
それは、「ひとり言」です。
ひとり言?と驚かれるかもしれませんが、実はこれはいつでもどこでも出来る、素晴らしい学習方法なのです。
皆さん、日常生活の中で、頭の中で、日本語でひとり言を言ってないですか?
もしかしたら気付いていないだけで、実は「うわ、これ美味しい!」とか、「まずい、あと5分で出ないと遅刻だ!」とか言ってないですか?
こういったひとり言は、実はとても良い英語教材になるのです!
例えば、「まずい、あと5分で出ないと遅刻だ!」って英語で何て言いますか?
人によって異なりますが、私であれば、下記のように言います。
Oh, crap! I’m going to be late if I don’t leave in 5 minutes!
※本来であれば、crapよりもっと悪い言葉を使うかもしれませんが、ここでは自粛します!
これだけ短い文でも、意外に悩みませんでしたか?
日頃のふとしたひとり言を英語にするだけで、かなりの練習になります。
可能な時は実際に声に出して話してみると良いですが、電車の中などであれば、頭の中でひとり言をつぶやく方法でも良いですよ。
また、ひとり言でスピーキング力を鍛える場合、客観的な情報を語るという方法もおすすめです。
具体的にどういうことかと言うと、例えば皆さんが散歩をしているとしましょう。
そうしたら、一人の女性がカフェからコーヒーカップを持って出てきた場面に遭遇したとしましょう。
そういった目に飛び込んできた情報をそのまま英語にしてひとり言にするのです。
皆さんであれば、今書いた場面をどのように言うかちょっと考えて、実際に声に出して言ってみてください。
どんな文を言いましたか?
私であれば、A woman came out of a café with a cup of coffee in her hand.とでも言うと思います。
ひとり言でスピーキング力を鍛える際に、一つ覚えておいて欲しい点があります。
それは、この「ひとり言」は「瞬間英作文」と違い、日本語の文を訳すことが目的ではないという点です。
何が言いたいかというと、作る文の内容や形は自由ということです。
「日本語の文はこれだから、それを英語にしよう」と考えてしまうと、その文の中に出て来る単語、そして文の形を訳すことに意識が行ってしまい、迷ってしまうことが増えてしまう可能性があります。
ひとり言をする際に何が大切なことは、「伝えたい情報」を自分の中で整理して、その情報を自分が言える英文にするということです。
先ほどの、女性がカフェからコーヒーカップを持って出てきたという文であれば、女性がカフェでコーヒーを買ったという情報を基に、下記のような文を作ることも出来ます。少し想像力を働かせても全く問題はありません。
① A woman ordered coffee to go at a café.
(女性がカフェで持ち帰り用のコーヒーを注文した)
② The café was too crowded so she couldn’t get a seat.
(カフェは混み過ぎていて、彼女は席を確保出来なかった)
③ A woman didn’t have time to drink coffee at the café.
(女性はカフェでコーヒーを飲む時間が無かった)
最初に伝えられた日本語文からは、上記の①~③のような英文を作ろうと思った方はいなかったと思います。
しかし、ひとり言の方法には、「この形で言わなければならない」という正解はありません。
見えたことをどれだけ膨らませても良いですし、どんな英文にするかも自分の自由です。出てきた英文が正解なのです。
もちろん文法的に分からない部分や分からない単語がある場合は、メモをして後で確認するとより効果的です。
ひとり言は結構遊び心がある勉強方法なので、ぜひ外出中などに試してみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、スピーキング力を鍛える勉強法として、「瞬間英作文」「真似」と「ひとり言」の3つをご紹介しました。どれもスピーキング力を上げるために間違いなく効果的なものです。
いずれも効果が表れるまで時間はかかりますが、習慣化して継続することで、必ず結果はついてきます。
どのような勉強でも、最初は慣れるまで時間がかかります。しかし、やり方を理解し、習慣化してしまえば、それをやることが当たり前になり、そのうち毎日それを行うことが楽しく感じることさえあります。
これらの勉強方法も、そうなるまでやってみてください!
また、英語はインプットとアウトプットのバランスが大事です。
インプットした情報や知識を「知っている」から実際に「使える」段階へ持っていくためにはアウトプットの練習が不可欠です。
ぜひ今回ご紹介したスピーキング力を鍛える勉強方法で、「使える」英語にしていってくださいね!
それではまた次回もお楽しみに。