TOEICと英会話に関する疑問に満点バイリンガル講師が答えます!

TOEICの勉強をして、英会話ができるようになるのか?と疑問に思ったことはないでしょうか。

目標としているTOEICの点数が取れても、英会話ができるようになっていなければ、意味がないと思ってしまうかもしれません。

 

TOEICと英会話の違いを理解しつつ、相関性も確認することで、実はTOEICと英会話が必ずしも別の物ではないことに気付くことができます。

それにより、TOEICのために勉強をしても、その方法次第では英会話ができるようになることが分かります。

 

TOEICを運営しているIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が公表している客観的なデータや、TOEIC満点でバイリンガルでもある筆者の講師としての経験から、TOEICと英会話に関する疑問に答えていきます。

 

記事の内容

1. 疑問その1:TOEICと英会話の学習は両立ができるの?

2. 疑問その2:TOEICと英会話は何が違うの?

3. 疑問その3:TOEICと英会話の学習はどちらを優先すべき?

4. 疑問その4:TOEICと英会話は相関関係があるの?

5. まとめ

 

1. 疑問その1:TOEICと英会話の学習は両立ができるの?

 

1-1. TOEICと英会話は全く異なるものではない

「TOEICの点数が900点でも英語が話せない人はたくさんいる」という話を聞いたことはありませんか?

多くのTOEIC学習者から、TOEICは試験だから、英会話とは勉強法が違い、TOEICと英会話の学習を両立することは難しいのではないか?という疑問をよく聞きます。

 

TOEICと英会話は別物、と考えている人が多いのです。

 

しかし、IIBCは、TOEIC® Listening & Reading Testを含むTOEIC® Programについて、下記のように述べています。

 

「知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定します。」

 

要するに、TOEICは「英語をコミュニケーションの道具としてどれだけ使えるか測定するテスト」ということです。

そして、この「使える」という部分には「話す」や「聞く」という能力が含まれます。

 

TOEICは大きく分けて、TOEIC® Listening & ReadingとTOEIC® Speaking & Writingの2つがあります。

一般的に「TOEIC」として知られているものは前者で、リスニングとリーディングセクションに分かれている2時間200問の試験です。

 

このTOEICの勉強が、英会話ができることに繋がらないと思われる大きな理由は、TOEICには「話す」という部分がないためです。

 

しかし、実はリスニングセクションで高い点数を取るためには、話す練習をすることがとても重要です。

 

例えば、英語の映画やテレビ番組を観ていて、言っていることは聞き取れなかったけれども、英語の字幕など、内容を文字で確認したら全部知っている単語だったという経験はないでしょうか?

 

実はこれはよくある現象で、単語の発音が実際に思っていた音と異なったり、文中で単語がくっついて音が繋がったり、脱落したりすることで別の音に聞こえることがあります。

 

この英語特有の音を理解することが、TOEICのリスニングセクションに役立ち、英会話でも役に立つのです。

そして、この音を「聞く」ために効果的な学習方法が、実は「話す」練習をすることなのです。

 

自分で言える音は聞き取れるし、言えない音は聞き取れません。

 

詳しくは、TOEICリスニング対策と解答のコツ【音読できる=聞けるの法則とは⁉】をご覧ください。

 

もちろん中には耳がとても良い人や、試験を受けること関して優れた才能を持っている人もいます。

しかし、そのような人たちも含め、「話す」練習をすることは、「聞く」という能力の向上に繋がります。

そしてこれは、TOEICと英会話が全く異なるものでは無いことの十分な理由となります。

 

1-2. 「TOEICで何点取ってから英会話の学習をすべき」と考えるのは止めよう

TOEIC学習者の中には、TOEICと英会話の学習を同時に行うのは難しいので、特定の点数を取ってから英会話の学習をすべきと考える人もいます。

 

このように考える大きな理由が1つあります。

 

TOEICにはPart3やPart4で先読みと言われる解答テクニックや、Part5では品詞問題を瞬時に解くなど、それぞれのPartを効率的に解くための方法や注意点が存在するからです。

 

先読みについては、TOEIC Part3 スコアアップのコツと勉強法【聞き取れる秘策】をご覧ください。

 

このようなTOEICの解答テクニックや注意点は、専門的に学ぶ必要があります。

実際に筆者が教えてきたTOEIC学習者の中にも、解答テクニックを身に着けることでTOEICの点数が100点上がった人もいます。

 

このような成功体験を持った人たちの話が広まり、TOEICの解答テクニックを理解して実践し、まずはできるだけ高い点数を取ることが効率的だと思う人が増えたと考えられます。

 

しかし、少なくとも筆者が担当してきた学習者の中で、TOEICの解答技術を身に着けて点数を上げた人の多くは、元々それだけの点数を取るために必要な英語力を持っている人たちでした。

そもそもTOEICの問題形式や解答技術を知らなかったため、点数が低くなっていたのです。

 

TOEICと英会話の初心者が伸ばすべき点として共通して挙げられるのが、「基礎文法」です。

 

TOEIC初心者が点数を上げるためにまず知る必要があるものは、「語彙力」、「TOEICを知る」、そして「基礎文法」という3点です。

詳しくは、無理をしない!TOEIC初心者が行うべき勉強法をご覧ください。

 

英会話ができるようにするために、まず学習者が伸ばすべき点も「基礎文法」です。

 

よって、「TOEICで特定の点数を取ってから英会話の勉強をしよう」と考えるのではなく、「TOEICの勉強が英会話の勉強になり、英会話の勉強がTOEICの勉強になる」と考えるようにして総合的な英語力を伸ばすことを心がけましょう。

 

1-3. TOEICの勉強は英会話にも活用できる

TOEICの勉強法には沢山の種類があります。

 

Part1からPart7までのPart対策、リスニング強化、リーディング強化、語彙強化はもちろん、TOEICの目標別スコアによっても勉強法は異なります。

 

しかし、TOEICは「英語をコミュニケーションの道具として使えるか」を測定する試験です。

よって、「話す」、「聞く」、「読む」、「書く」という4技能を伸ばすことが大切です。

 

そして、4技能の中でも、英語をコミュニケーションの道具として使うためには、特に「話す」と「聞く」が必要な英会話の学習をすることが、結果的にTOEICの点数向上にも繋がります。

 

TOEICのPart別対策や解答テクニックがTOEICの勉強と考えられる傾向がありますが、実は本当にTOEICのスコアを上げるために効果的な勉強法は、英会話を含む、コミュニケーションの道具として使える英語力を高めることです。

 

特に音読とシャドーイングは、英会話で必要な「話す」「聞く」に加え、「読む」力も上げることができるため、TOEIC全体にとても効果的な勉強法です。

 

音読とシャドーイングの詳しい方法は、目指せ600点!TOEIC初心者が半年行うべき勉強法をご覧ください。

 

TOEICと英会話の勉強は全く異なるものではなく、むしろ強化すべきポイントは重なっている部分の方が多いと言えます。

よって、TOEICと英会話の勉強は両立することができるのです。

 

 

2. 疑問その2:TOEICと英会話は何が違うの?

 

2-1. TOEIC Listening & Readingはインプットが中心、英会話はアウトプットも必要

TOEICと英会話の勉強は両立できることは間違いありません。

しかし、TOEICのスコアを上げ、且つ英会話も上手になるためには、それぞれの違いを知ることも大切です。

 

TOEICと英会話の違いは、TOEIC® Listening & Readingはインプットが中心で、英会話はインプットに加え、アウトプットもとても大切という点です。

 

TOEICの試験は、Listening問題100問とReading問題100問の合計200問で構成されています。

すべての答えを選択肢A~D(Part2のみAからCの3択)から1つ選びマークシートを塗りつぶす形式です。

記述式の問題はないため、情報を「聞く」、または「読む」というインプットのみです。

 

TOEICの詳しい形式は、TOEICとは!?テストの形式・各Partの特徴を分かりやすく解説をご覧ください。

 

それに対して英会話は情報を「聞く」というインプットがありますが、同じくらい「話す」というアウトプットが大切になります。

 

どれくらい会話でアウトプットが大切かと言うと、例えば会議に参加する際に、発言をしなければ他の参加者からすべてに対して同意していると判断されます。

中には発言をしない人は、参加していないのと同じと考える人も多くいます。

 

このインプットとアウトプットについてはTOEICと英会話では決定的な違いがあると言えます。

 

2-2. TOEICは教科書通りの英語、英会話は変化球が多くある

もう1点TOEICと英会話で違う点は、TOEICと英会話の英語です。

TOEICの英語は、教科書で学べるようなきれいな英語を使っています。

 

リスニングでは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア英語で音声が流れるため、慣れていない英語は聞き取りにくいと感じる学習者もいるでしょう。

しかし、言われている内容やリーディングセクションで書かれている英語は、正攻法で英語を学習すれば理解できる内容となっています。

 

それに対して英会話は多くの変化球があります。

例えば、英語を学校で学んできた人には、「Let’s grab a bite to eat.」と言われても、「一口を食べるために握る?」のように訳してしまい、意味が分からないでしょう。

実際には、「何か軽く食べに行こうよ」という意味です。

 

また、looやtubeと聞くと、「looはカレーのルー?」、「tubeって管?」と考える可能性が高いかと思います。

しかし、これらはイギリス英語で、「トイレ」と「地下鉄」を意味します。

toiletとsubwayではないの?と思うかもしれませんが、国によって単語が異なるという変化球があります。

 

TOEICでは「標準語」が分かれば対応ができますが、英会話の場合、教科書では一生見ることのない単語や表現も多く登場するため、そういったことを勉強することも必要となります。

 

TOEICと英会話では、こういった違いもあるということを理解しておくと良いでしょう。

 

3. 疑問その3:TOEICと英会話の学習はどちらを優先すべき?

 

3-1. TOEICと英会話の学習を完全に切り離すことはできない

英会話は必要ないから、TOEICのスコアだけ伸ばしたいという人もいるでしょう。

そのような人からすると、必要のない英会話に時間は使わずに、TOEIC学習のみに時間を割きたいと思うのは自然です。

 

しかし、既にお伝えした通り、TOEICは「英語をコミュニケーションの道具としてどれだけ使えるか測定するテスト」です。

よって、例えばTOEICの参考書で400点くらいまでは何となく取れても、多くの企業や学校が求めるTOEIC600点以上のスコアを、英語が全く使えない状態で取得することは至難の業と言えます。

 

スポーツで例えると、上手になりたいスポーツに必要な道具やウェアだけ揃えて、実際の練習をしない状態と似ています。

そのような状態では、少しは出来るように見えても、実際に上手いという域に達することは難しいのが現実です。

TOEICでも同じことが言えます。

 

TOEICでスコアを伸ばしたいのであれば、しっかりとTOEICが測定する「英語を使う」という部分を強化する必要があり、それが英会話の学習なのです。

 

逆に言えば、英会話が出来るようになれば、それにTOEICの解答技術を足せばスコアは驚くように上がります。

 

TOEICと英会話の学習を切り離そうと考えるのではなく、如何に両立するかを考える方がTOEICのスコアアップが可能になります。

 

3-2. TOEICだけが必要であればTOEIC学習の比率を上げれば良い

どうしてもTOEIC学習に集中したいという学習者の方には、1つ提案があります。

 

それはTOEICと英会話学習の比率を変えれることです。

技術的な部分を集中して習得したいという場合には、例えばTOEIC7:英会話3のようにするのも良いでしょう。

これはしばらく期間を決めてそのようにして行い、ある程度解答技術が理解出来たと感じたら、比率を戻すようにしましょう。

 

また、しばらく経っても成果が出ない場合には、スコアを上げるために必要な英語力が不足しているということを意味するため、やはり比率を戻す必要があります。

場合によっては、しばらく英会話の比率をTOEICより高めるといったことをしても良いでしょう。

 

このようにある程度学習の比率を学習時期によって変えることは可能です。

しかし、TOEICのみにすることはおすすめしません。

 

4. 疑問その4:TOEICと英会話は相関関係があるの?

 

最後にTOEICと英会話には相関性があるのかという疑問に対する答えです。

答えは、「ある」です。

 

TOEICを運営しているIiBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が公表しているTOEIC®Program DATA & ANALYSIS 2018年度 受験者数と平均スコアの中にある下記の興味深いデータで裏付けることが出来ます。

 

(参照:国際ビジネスコミュニケーション協会)

 

このデータでは、受験者(397,947名)がアメリカやイギリスといった英語を主言語とする国に滞在した経験があるか、ある場合にはその期間に分けて、TOEICのスコアとの相関関係を表しています。

 

英語を主言語とする国に滞在することで、多くの場合、英会話が上達すると考えることが出来ます。

 

上記のグラフからも分かる通り、例えば滞在経験がない受験者の平均スコアは449点であるのに対して、2年より多く滞在経験がある受験者の平均スコアは714点です。

なんとその差は、265点です。

「1年より多く2年以下」のグループのみ例外ですが、滞在経験が長い方がTOEICのスコアが高くなっていることが分かります。

 

このグラフの結果からも、英会話が出来るようになることで、TOEICのスコアが上がることが分かります。

まさにIiBCがTOEICの定義としている「知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定します。」 という点が表れていると言えます。

 

これは筆者個人の経験からの話ですが、筆者は約9年海外に住んでいたため、初めて受験したTOEICでは900点以上を取ることが出来ました。

そこからTOEICの解答技術を学び、曖昧だった英文法の理解を磨くことで、満点を取ることが出来ました。

よって、どちらの学習が抜けても満点は取れなかったと思っています。

 

5. まとめ

TOEICはインプットを中心とする試験であることに対して、英会話はアウトプットも必要とするため、この2つを全くの別物と考えてしまう傾向があります。

しかし、勉強法も含め、この2つの関連性は高いということがお分かりいただけたと思います。

 

しっかりと英語の4技能を上げつつ、TOEICで必要な解答技術を習得することで、英会話もTOEICのスコアも上げることが出来ます。

特にTOEICスコアを上げるためには英会話の上達が不可欠なので、TOEICの解答技術のみに頼ってスコアを上げようとするのではなく、音読やシャドーイングも含め、会話が出来るようにすることを意識しましょう。

 

TOEICと英会話には切っても切れない関係があるので、折角TOEICのスコアが必要で勉強するのであれば、同時に話せるようにもなろう!という気持ちを持つと良いでしょう。

 

英会話が出来るようになり、それがTOEICの結果としても現れるという形が本来の理想的なTOEICのスコアの上げ方なので、この形でTOEICのスコアアップと英会話の上達を両方手に入れましょう。

 

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