TOEIC Part5の短文穴埋め問題は、気持ちの駆け引きが必要なパートです。
リーディングセクションでは、最後のPart7を終わらせるための時間をしっかり確保する必要があるため、「Part5の問題を素早く解かなければならない!」という気持ちが起こります。
一方、Part5は30問あるので、ここでしっかりと点数を稼ぐことで、リーディングセクション全体のスコアを上げることができます。
よって、「時間ばかりを意識してしまい、凡ミスによって点数を落すことは避けたい」という気持ちになり、「慎重に問題を解こう!」という意識も生まれます。
この2つの気持ちが整理できない状態でTOEICを受けると、Part5を急いで解こうとはするものの、分からない語彙の問題が続いたり、文法の答えが分からない問題がいくつかあったりして、焦ってしまいます。
時間がなくなることを恐れ、それらの問題を捨て、他のPart5の問題で挽回しようと頑張りますが、徐々に焦る気持ちが強くなります。
こうなると、問題を慎重に解くため時間がかかってしまい、結局Part7の最後まで解けなくなってしまう…ということになります。
この様な経験をされた方は、「時間」の問題と「点数を稼ぐ」ということを同時に対策できる問題集や参考書を探すために書店へ足を運ばれたことも多いのではないでしょうか。
しかし、TOEIC Part5対策の問題集は多くあるため、自分に効果的なものがどれか絞れないという、新たな問題に直面することも考えられます。
Part5の問題集を選ぶ際には、「文法」「語彙」と「解答テクニック」の3つに絞って問題集を探すことをおすすめします。
この記事の後半で理由は説明しますが、Part5は、「文法」と「語彙」の知識を試す問題から成り立ち、それらの問題を効率よく解くために「解答テクニック」が有効です。
TOEIC700点以上の上級者であれば、ある程度これらの知識をしっかりと持っているため、公式問題集等を繰り返し解くことでも対策となりますが、700点未満の受験者には、「文法」「語彙」「解答テクニック」の3つを強化する問題集や参考書に取り組むことが、Part5攻略の近道となります。
同じリーディングセクション対策の問題集については、TOEIC Part6 おすすめ問題集を専門家が3つ厳選!、TOEIC Part7 長文対策!スコア別おすすめ問題集をご覧ください。
それでは、早速TOEIC Part5スコアアップにおすすめの問題集を見て行きましょう。
記事の内容
2. TOEIC Part5は問題をひたすら解くだけではダメ!
4. まとめ
1. Part5でおすすめの問題集(参考書)はこれ!
今回は、Part5で必要な「文法」「語彙」と「解答テクニック」を伸ばせるおすすめの問題集を、それぞれ2冊ずつ、合計6冊ご紹介します。
文法が苦手という方は、是非こちらから取り掛かってみましょう。
1‐1. Part5に必要な文法を身につけるにはこれ!
まずPart5で必要な文法の知識を身につけるためにおすすめする問題集は、アルクが出版している「TOEIC®L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル」です。
実は私は帰国子女なのですが、英語を教えるという職業を選んだ際に、とてもストレスに感じたのが英文法でした。
私の生徒さん達の中には、当然ですが、レッスンで出て来る英文を、文法用語を使って理解したいという方も多くいました。
感覚で英語を覚えていた私からすると、生徒さんの方が上手に文法の説明をすることができ、文法用語の知識も私より断然あると思っていました。
今から思い返すと、私の生徒さん達には申し訳ないことをしたなとさえ思います。
そこで私は何十冊という英文法の教材を購入し、学習するようになりました。
文法用語が分からない私にとって、英文法を数多くの文法用語を用いて説明している教材を読むことは、罰ゲームでしかありませんでした。
私が重宝した本は、誰が読んでも理解できる言葉で説明されたものでした。
「TOEIC© L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル」は、当時はまだ出版されていませんでしたが、その時にあったら良かったのに、と思うような内容になっています。
解説がとても分かりやすく、読めば誰でもすぐに理解できるようになっています。
この本の良い点は、スコアが300~400点台、リーディングセクションが100~200点台の方に向けて書かれたものなので、とにかく分かりやすいということです。
また、基礎文法、且つTOEICのPart5とPart6を解くために必要な文法項目に絞っている点も、Part5の点数を上げたい方にはおすすめのポイントです。
300~400点台を超えている方であっても、文法の知識の見直しをしたいという方には、自信を持っておすすめできる一冊です。
TOEICのレベル的には400~500点台以上の方で、少し難易度が高くても良いという方には、2冊目の、ジャパンタイムズから出版されている「TOEIC®テスト英文法 プラチナ講義」をおすすめします。
こちらはPart5に特化したものではありませんが、Part5を解く際に必要な文法項目が網羅されており、且つPart5形式の問題を見ながら文法の説明がされているため、基礎文法の知識を身につけながら、Part5の問題の解き方も学ぶことができる優れものです。
また、私が問題集や参考書を選ぶ際の必須条件としている解説の分かりやすさに関しても、読者のことをとてもしっかりと考えて書かれています。
「頭の中に昔学んだ知識が眠っているので、それを思い出したい」という方等は、この本を読むことで、その知識をよみがえらせることができるでしょう。
1‐2. Part5に必要な語彙を覚えるにはこれ!
次におすすめする2冊は、Part5で登場する語彙力を身につけるために大変役立つものです。
この1冊は、TOEICの語彙対策として問題集や参考書を探す際に、必ずと言って良いほど書店で目にします。
この本があれば、初級から上級の方まで語彙対策は大丈夫!と言える優れものです。
収録されている単語数は3000語以上です。
TOEICで必要な単語の目安は、目指す点数によって異なりますが、例えば400点を目指す場合には、3000語程度、700点を目指す場合には6000~7000語程度、そして900点以上を目指す場合には1万語以上と言われています。
一般的に、中学から高校までの6年間で約3000語を学ぶことができるようになっています。
しかし、これらの単語は「TOEIC®L&R TEST英単語スピードマスター」に収録されている単語より基礎的なものなので、ほぼ重複しないと考えることができます。
よって、この本の単語を全て覚えた場合、中高で学んだ3000語+この本で登場する3000語以上=6000語以上となるので、TOEICで700点程度を取得できる語彙力を身につけることが可能です。
また、構成として、「動詞」「形容詞・副詞」「名詞」「イディオム(熟語)」に分かれていて、それらに加え、TOEICで知識が試される「ビジネス」と「生活」に関連した語彙もカテゴリー分けされています。
学習の方法として、強化が必要と感じるカテゴリーから覚えることもできて、とても便利です。
2冊目は、「TOEICテスト英単語・熟語マスタリー2000 新形式問題対応 4訂版」です。
少し軽めに学習したいという方にはこちらがおすすめです。
収録されている単語と熟語の数は2000語ですが、初級や中級の方にはレベル的にもちょうど良い内容となっています。
こちらのおすすめポイントは2点あります。
① TOEICに登場する頻度別で単語が分けられている
② 専用アプリをダウンロードし学ぶことができる
TOEICに登場する頻度が高い単語から学べるようになっている点が、この本の1つ目の売りです。
まずはテストによく登場する単語から順に覚えたいという方には、とても親切な作りになっています。
「頻度ランクA~D」まであり、それぞれ450単語が収録されています。
そして、その後に「重要熟語」の200語が続きます。
専用アプリがあることもおすすめの理由です。
本自体も大きくはありませんが、単語カードアプリをダウンロードすることで、お持ちのスマートフォンで覚えた単語を復習することができます。
記憶に残すためには、単語を繰り返し確認することが重要です。
よって、スキマ時間にこのアプリを使って復習することはとても効果的です。
1‐3. Part5に必要な解答テクニックを得るにはこれ!
最後はTOEIC Part5の解答テクニックを学べる問題集です。
できるだけPart5にかける時間を短くすることが、リーディングセクションを終わらせるためには重要ですが、解答テクニックを身につけることで、その可能性を高めることができます。
2010年に出版された問題集ですが、TOEICの形式が変わった後も、Part5では問題数が減った程度で内容に大きな変更はなかったため、しっかりと学ぶことができます。
こちらの本では、Part5を1問20秒で解くために必要な解答テクニックを習得することができます。
本番テストの時間内にPart7の最後まですべて解答するには、Part7にかける時間は50~55分程必要と言われており、その時間を確保するために、Part5/6を1問約20秒で解くことを目指す必要があります。
「TOEIC®テストPart5&6を1問20秒で解けるようになる本」では、Part5の問題を頻出する61のパターンに絞り、「選択肢→空所→意味」という順で問題を解く方法を習得する流れになっています。
問題のパターンとこの3ステップの解答方法に慣れることで、Part5の問題を素早く解けるようになります。
最後におすすめする1冊は、TOEIC講師として有名なヒロ前田氏の「TOEIC®L & R テスト 究極のゼミ Part 5 & 6」です。
モバイックの監修もしている前田氏ですが、この本では、Part5とPart6を20分で解くことを目標としています。
Part5とPart6を20分で解くために有効な解答テクニックを講義(ゼミ)での対話形式で学べるので、内容がとても分かり易い形で頭に入ってきます。
Part5は、7回のゼミとして、問題タイプ(下記の7つ)を詳しく見ながら、それらの解き方を学んでいきます。
1. Part5の取り組み方
2. 品詞問題1基本編
3. 品詞問題2発展編
4. 動詞の形
5. 代名詞・関係代名詞・限定詞
6. 前置詞・接続詞
7. 語彙問題
これらの問題の解答テクニックを確認し、その後ミニ模試問題を解くことで、学んだことを実践的に使えるようにすることができます。
解答テクニックを学ぶには大変おすすめの1冊です。
2. TOEIC Part5は問題をひたすら解くだけではダメ!
ここからは、そもそもなぜ「文法」「語彙」と「解答テクニック」に分けて問題集(参考書)をおすすめしたかについてお話しします。
興味があれば、是非最後まで読んでみてください。
TOEIC Part5で点数を取るためには多くの問題を解くことが必要です。
上級者(700点以上)は文法等の基礎知識をしっかりとお持ちの方が多いので、公式問題集等の問題をひたすら解くだけでも有効な対策となります。
しかし、文法や語彙等に不安のある700点未満の学習者は、「文法」や「語彙」の強化を、本記事でおすすめした問題集や参考書を使って行うと良いでしょう。
これらの知識を身につけることで、根拠に基づいて問題を解けるようになります。
こちらでは、特に700点未満の方が確認すべき点を3つお伝えします。
2-1. Part5の問題を理解する
TOEICの問題を解く際に必ず必要な知識は、どの様な問題が出題されるかを理解するということです。Part5に関しても問題を理解する重要性は同じです。
Part5では、出題される問題の種類を理解することで、全ての問題が「文法問題」と「語彙問題」に分類されることが分かります。
また、どの様な文法問題があるかを理解することで、問題を全て読むべきか、それとも部分的に読むことで解ける問題か判断することができます。
Part5で出題される問題の種類は下記のようになっています。
1. 品詞問題(名詞、形容詞、副詞等)
2. 動詞の使い方問題
3. 前置詞・接続詞問題
4. 代名詞問題
5. 関係代名詞問題
6. 比較級問題
7. 仮定法問題
8.語彙問題
Part5の問題の種類については、こちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
「TOEIC Part5 対策!短文穴埋め問題の攻略法を解説」
2-2. 文法知識を身につけることがPart5攻略の近道になる
Part5の問題は大きく分けると「文法問題」と「語彙問題」です。
TOEICで出題される文法問題は基礎文法の問題が多いため、これらの知識を見直すことで、Part5の問題を自信を持って答えられるようになります。
Part5の問題をひたすら解いても、そもそも文法の知識が曖昧で、答えを見つけることができない場合、解説を読んで理解したつもりになっても、本番の試験で正しい答えを選べるとは限りません。
しかし、時間をかけて基礎文法を身につけることで、練習問題の解説を理解できるだけでなく、実際のTOEICでも、自信を持って答えを見つけらえるようになります。
文法知識を身につけることが、Part5を攻略するための近道と言えます。
2‐3. 語彙力アップを忍耐強く継続する
私がレッスンを担当しているTOEIC学習者の皆さんが、最初に口を揃えて言われるのが、「単語が分からない」です。
語彙力に関しては、どのレベルの方でも、満足ということは恐らくないと思います。
単語を知っているということは、Part5でもとても重要です。
なぜなら、30問あるPart5の問題の中で、約3分の1にあたる10問程度が語彙問題だからです。
よって、Part5で点数を取るためには、語彙力アップが必須と言えます。
語彙力を上げるためには忍耐強く継続して学習することが大切です。
よって、今回おすすめさせて頂いた「TOEIC®L&R TEST英単語スピードマスター」や「TOEICテスト英単語・熟語マスタリー2000 新形式問題対応 4訂版」を使って、時間をかけて繰り返し学習するようにしましょう。
3. Part5で使える解答テクニックは重要!
Part5では、「文法」や「語彙力」がとても重要ですが、それに加えて「解答テクニック」も重要です。
なぜこの解答テクニックが必要か見てみましょう。
3‐1. Part5で使える解答テクニックはなぜ必要なのか
リーディングセクションを最後まで終わらせるためには、Part5を1問約20秒で解くことが理想です。
問題によっては文全体を読んで解答する必要があるため、20秒以上かかってしまうものもあります。
しかし、多くかかってしまった時間は、他の問題で取り返す必要があります。
多くかかってしまった時間を他の問題でカバーするためには、解答テクニックが必要です。
この解答テクニックを習得し、受験時に実践できるようにすることで、文を全て読まなくとも解ける問題を素早く解き、解答時間を短縮することができます。
速読力を身につけている方にはPart5の解答テクニックは必要ではありませんが、それ以外の方には、現在のTOEICの点数に関係なく、試験を終わらせるために解答テクニックは必要です。
3‐2. 解答テクニックのみで高得点を取ることは難しい
解答テクニックがあるのであれば、それを極めて高得点を取れば良いのでは?と思う方もいると思います。
私の生徒さんの中でも、今まで解答テクニックを知らずにTOEICを受験されていたが、解答テクニックを理解して実践することで、100点程上がったという初級や中級の方が何人もいました。
しかし、これは今までの実力や知識を解答テクニックによって引き出した結果に過ぎません。
TOEIC Part5でしっかりと点数を上げるには、試される「文法」や「語彙」の知識を持っていることが大前提となります。
その知識を素早く引き出すために解答テクニックが存在します。
よって、解答テクニックのみで高得点を取ることはほぼ不可能と言って良いでしょう。
Part5で高得点を取るには、繰り返しになりますが、「文法」「語彙力」と「解答テクニック」の3つが揃う必要があり、いずれが欠けても高得点を取ることは難しくなります。
4. まとめ
今回は、Part5に有効な問題集(参考書)を「文法」「語彙力」と「解答テクニック」の3つに分けておすすめしました。
いずれも私が個人的におすすめだと思うものです。
もし、Part5の対策をしたいという場合には、是非一度問題集を手に取ってご覧ください。
問題集や参考書は数多く存在しますが、おすすめのものを参考にして頂きながら、解説が理解しやすいかどうかを実際に手に取って確認し、最終的に購入の判断をするようにしましょう。
自分に合う教材に出会えることも、Part5の点数アップの重要な要素ですので、早速その1冊を探しに行きましょう。