TOEICで500点台は取れたけれども、目標の600点を突破することが出来なくて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
TOEIC600点は、多くの企業の昇進要件や大学の単位として認められるスコアであるため、簡単に取れる点数ではありません。
TOEIC500点までは自分なりに今までの知識を生かしながら勉強して取れたけれども、600点の壁を越えられず、自分のやり方が正しいのか不安になることもあるかと思います。
TOEIC600点を取るためには、基礎文法と語彙力の強化、そしてTOEIC解答テクニックを身に着けることが必要です。
この記事では、文法と語彙力を強化するための勉強法や、解答テクニックを身に着けるためにお勧めの参考書もお伝えします。
今までTOEIC600点対策講座を数多く担当してきた著者が、TOEIC500点から600点を取るために必要なことだけをしっかりとお伝えします。
2. TOEIC500点から600点を取るための強化ポイント
3. TOEIC500点から600点を取るための勉強法:基礎文法と語彙力強化
4. TOEIC500点から600点を取るための厳選解答テクニック!
1. TOEIC500点と600点は何が違うの?
TOEIC500点と600点では、英語を使って出来ること、そして評価のされ方の2点に大きな違いがあります。
この2点の違いを見てみましょう。
1‐1. TOEIC500点と600点で出来ることの違い
まずは1点目の「英語を使って出来ること」についてです。
TOEIC500点台の人は、旅行等で使う日常会話が何とかできるレベルです。
それに対して、TOEIC600点台の人は、自分に関連する簡単なビジネスの内容であれば何とか対応ができます。
TOEIC500点台の場合、What is your hobby?やWhat did you do today?といった簡単な質問を理解出来ますが、旅行等での英語は、相手にゆっくり話してもらったり、予め準備出来る内容の質問であれば何とか対応が出来ます。
また、店の看板や時刻表を見て理解する等、日常的に目にするもので、複雑でなければ理解することが出来ます。
自分宛てのメモや自分に関連した商品のカタログ等も、何とか理解することは出来る英語のレベルです。
TOEIC600点台は、上記のTOEIC500点台で出来る内容には問題なく対応することができ、空港などのアナウンスや自分に関連した仕事の内容は何とか対応できるレベルです。
また、会議の議事項目を読んで理解したり、オフィス機器のマニュアルを読んで使い方を理解する等、直接自分に関連性がないことは難しいと感じながらも、何とかできるといったレベルです。
TOEIC500点・600点それぞれのレベルについては、TOEIC500点レベルは役に立つ?【気になる就活・仕事での評価を解説】、TOEIC600点のレベルとは?600点を取るべき理由と勉強法をご覧ください。
1‐2. TOEIC500点と600点の評価の違い
TOEIC500点と600点では、100点しか差はありませんが、実はこの100点が大きな評価の分かれ目となっています。
厳密に言えば、TOEICで600点の壁を突破しているか否かで評価が違います。
結論から言うと、TOEICを評価基準に含む企業では、TOEIC600点以上が必要です。
TOEIC500点は企業ではほぼ評価されず、TOEIC600点以上を持つことで、やっと昇進や海外赴任といった機会が与えられるというケースがほとんどです。
IIBCが公表している2019年の新入社員の平均スコアは488点でした。
(※2019年4月1日から5月31日までにIPテスト(団体試験)を受けた35,552名が対象)
このスコアから分かる通り、新入社員の平均はほぼ500点です。
よって、企業としては、その平均点より100点程高いTOEIC600点を最低限求める点数として設定しています。
2. TOEIC500点から600点を取るための強化ポイント
TOEIC500点から600点を取るためには、基礎文法と語彙力を強化し、TOEICの解答テクニックを身に着けることが必要です。
2-1. 基礎文法と語彙力
TOEICのスコアを上げるために必要不可欠なのが、基礎文法と語彙力です。
既に700点から800点のTOEICスコアを既に持っている場合、ある程度しっかりとした基礎知識を持っているため、TOEICの解答テクニックで点数を上げるということを目指す方法は有効です。
しかし、TOEIC500点から600点を目指す場合、基礎知識や語彙力が十分ではないため、問題に対する正しい解答を選べないことが多くあります。
TOEIC600点を取るためには、まずはPart1,2と5の対策を行うことがお勧めです。
理由は、リスニングセクションのPart1とPart2で流れる文は短く、比較的理解しやすいからです。
また、リーディングセクションのPart5は短文穴埋め問題で、文法問題と語彙問題が多く出題されます。
よって、Part5の問題パターンを押さえることで、問題が解きやすくなります。
これらの3つのPartは問題で出題される文が短いので、しっかりとした文法の知識を持ち、文の形、品詞や時制等の文法項目を理解し、且つ単語の知識を持っていれば、正解が見つけやすく、スコアを上げることが出来ます。
文法の知識が曖昧な人は、基礎文法の見直しをしっかりと行うだけで、500点から600点にスコアアップすることも決して夢ではありません。
2-2. TOEICの解答テクニック
TOEICでは、一語一句しっかりと確認して解こうとすると、時間切れになり本来の力を出し切ることが出来ません。
英語力をしっかりと身に着けながら、試験ではいかに手を抜き、時間をなるべくかけずに問題を解けるかが、TOEICで目標のスコアを取るためには重要です。
そのためには各Partで使える解答テクニックを知り、実践できるようにすることが有効です。
この記事の後半の「TOEIC500点から600点を取るための厳選解答テクニック!」では、お勧めの解答テクニックをご紹介します。
3. TOEIC500点から600点を取るための勉強法:基礎文法と語彙力強化
3‐1. あいまいな基礎文法を見直す
TOEICでは、全てのPartで基礎文法の知識が必要ですが、中でもPart5のように、文法の知識が試される問題を含むPartもあります。
Part5は短文穴埋め問題で、リーディングセクション100問中30問が出題されます。
Part7は合計54問もありますが、1つの文書、または複数の文書を読む必要がある長文問題のため、時間がとてもかかり、最後まで解き終わらない人も多いです。
そのため、出来るだけPart5では着実に点数を取っておきたいものです。
Part5には様々な問題パターンがありますが、その中でも品詞問題では、文法の知識が必須です。
Part5の問題パターンについてはTOEIC Part5 練習問題【5つの頻出パターン+解説付き】を参考にしてください。
では、Part5品詞問題の例題を見ていきましょう。
Each ——- is asked to fill out the evaluation form at the end of the seminar.
(A) individuals
(B) individually
(C) individualize
(D) individual
(モバイックより抜粋)
品詞問題では文法の知識が一番試されると言っても過言ではありません。
文法の知識があいまいな場合、選択肢を1つずつ空欄に入れて意味を考えるという方法でこの問題を解く可能性が高いです。
しかし、文法の知識を身につけ、is askedの部分が動詞だと分かり、文は主語と動詞から始まることを知っていれば、is askedの前の空欄に入るのは名詞である、と瞬時に分かります。
4つの選択肢の中で、名詞はA. individualsかD. individualだけなので、選択肢を2つに絞ることが出来ます。
そして、空欄の前にあるEachが単数形の前に使われる形容詞だと分かる知識を持っていれば、答えはD. individualであると分かります。
基礎文法を見直すことで、この様な問題を瞬時に解くことができます。
それによって、確実に正解数を増やすだけでなく、例えばPart7のように解答に時間を要する問題を、今までより時間をかけながら解くことが出来るようになります。
それが結果的にTOEICで600点を越えるために重要になります。
もちろん基礎文法を見直すことが、Part5だけでなく、Part7等の他のPartでも情報を正確に理解することにも繋がります。
TOEICで500点から600点を取るためには、あいまいな基礎文法の知識を見直し、しっかりとした知識にする必要があります。
文法を見直すために詳しい方法は、これで迷わない!効果抜群のTOEICリーディング対策と時間配分をご覧ください。
3-2. 語彙を増やしてテストの内容を理解する
TOEICを500点から600点に上げるためには、語彙を増やすことも必要です。
TOEICのスコアを上げるためには、TOEICの問題で問われていることを正確に理解し、正しい選択肢を選ぶことが必要です。
そのためには、先ほどの基礎文法に加えて語彙力が求められます。
TOEICで600点を取るために必要な単語数は、5,000語と言われています。
しかし、これには誰もが知っているIやyou, haveやtakeといった単語も含まれます。
中学校では1,200語、高校では1,800語の英単語を覚えることになっているので、これらを見直せば、既に3,000語知っているということになります。
ちなみにこの数は2011年以降の学習指導要領の数字なので、それ以前に高校を卒業された方は、合計で、2,200語(中学で900語、高校で1,300語)を覚えたということになっています。
5,000語は、中学と高校で覚えた単語に2,000~2,800語程を足した数となりますが、基本的にはTOEIC600点を目指す人向けの単語帳を1冊選び、それをしっかりと学習すれば大丈夫です。
TOEIC600点を取るための100単語!おすすめ単語帳・アプリもでは、600点を目指すために覚えておきたい単語を一覧で紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
語彙を増やすことにより、Part5やPart6で出題される語彙問題で点数を稼ぐことが出来ます。
逆を言えば、単語を知らないと、いくら考えても解けないという問題です。
語彙問題の例を見てみましょう。
The new president’s in-depth knowledge of the fast food industry and bold decisions have had a ——- impact on Tastee Burger, helping to revive the struggling restaurant.
(A) favorable
(B) limited
(C) negative
(D) disappointing
(モバイックより抜粋)
この様な語彙問題は、選択肢の意味が分からなければ答えは出せません。
しかし、意味が分かれば点数をしっかりと稼げますし、仮に4つの選択肢のうち、2つだけでも意味が分かれば、正解する確率は上がります。
Part5では、多い時には30問中半分が語彙問題ということもあるので、TOEICのスコアを500点から600点へ上げるためには、語彙問題をしっかりと正解できるようにする必要があります。
このように、語彙を増やすことで、Part5やPart6の語彙問題に正解することができるようになり、その他のPartでも英語をより正確に理解し、正しく問題に答えられるようになります。
語彙の増やし方に関しては、単語を覚えてTOEICスコアアップ!今から始められる単語の覚え方をご覧ください。
3‐3. 文法と語彙のおすすめ参考書
文法知識の見直しと語彙力強化には、参考書を購入して学習することが効率的です。
ここでは、それぞれにお勧めの参考書を1冊ずつご紹介します。
まずは文法の見直しにお勧めの参考書です。
お勧めは、「TOEIC(R) L&Rテスト 英文法 ゼロからスコアが稼げるドリル」です。
この参考書は、英語を久しぶりに学習される方、TOEICの点数があまり高くない方(300点~500点くらいでOK)、英語の文法が好きではなかった方等にお勧めの1冊です。
含まれる文法は、品詞、動詞、第名詞、前置詞、接続詞と関係代名詞です。
これらをしっかりと見直せる内容になっており、且つTOEIC形式の問題を解きながらしっかりと習得出来る作りになっています。
また、語彙の知識も増やせる作りになっていることも、この1冊をお勧めする大きな理由です。
次に語彙力強化にお勧めの参考書です。
お勧めは、「世界一わかりやすい TOEICテストの英単語」 です。
この参考書は、スタディサプリでもお馴染みの関正生先生による1冊です。
351ページという厚い1冊になっていますが、TOEIC超重要単語、みんなが勘違いしやすい単語、絶対に知っておきたい「基本単語」、上級者を目指す「応用単語」等、各ユニットがテーマやレベルで分けられているので、誰がどの単語を覚えるべきか分かりやすくなっています。
TOEIC500点から600点になるまではもちろん、600点を越えてからでも引き続き使える内容になっているので、長い間使える1冊と言えます。
これらの参考書の詳細は、目指せTOEIC600点!レベル・勉強法・参考書をまとめて紹介をご覧ください。
4. TOEIC500点から600点を取るための厳選解答テクニック!
TOEIC500点から600点の壁を突破するためには、基礎文法の見直しと語彙を増やす以外にも、TOEICの解答テクニックを身に着けることが大切です。
リスニングセクションとリーディングセクションで使える厳選解答テクニックをお伝えします。
4‐1. リスニングセクションで使える厳選解答テクニック
リスニングセクションの厳選解答テクニックは「問題の先読み」です。
先読みはPart3とPar4で必須のテクニックで、先読みが出来ると出来ないではスコアに100~200点の差は出てくると言っても過言ではありません。
よって、先読みが出来るようになれば、TOEIC500点から一気に600点を越えることも夢ではありません。
先読みとは、簡単に言うと、Part3やPart4で会話やナレーションが流れる前に、予めそれらに関する問題を読んでおくことです。
先読みをすることで、聞き取るべき情報を予め知ることが出来るので、流れて来る会話やナレーションの情報を暗記する必要がなくなり、答えが聞こえたら直ぐに次の問題の情報を聞くことに専念できます。
最初は先読みをするタイミングが分からなかったり、素早く読むことが出来ないこともあるかと思いますが、繰り返し練習することで、必ず出来る様になります。
詳しい先読みの手順は、TOEIC Part3 スコアアップのコツと勉強法【聞き取れる秘策】をご覧ください。
4‐2. リーディングセクションで使える厳選解答テクニック
リーディングセクションの厳選解答テクニックは、設問と選択肢のキーワードを頭に入れて文書を素早く読むことです。
これは主にPart7で有効です。
Part7では数多くの文書を読む必要があります。
しかし、Part7の文書を上から下まで一語一句読むことはTOEICのスコアが800点や900点台の人でも困難です。
文書から答えやヒントが含まれる部分を素早く見つけ出し、その部分を中心にしっかりと読んで答えを見つけることが求められます。
そのために有効な方法が、キーワードを頭に入れるテクニックです。
設問や選択肢に含まれる重要な単語を頭に入れて、それと同じ、または関連性のある単語が含まれる部分を素早く見つけます。
そして、その周辺をしっかりと読むことで、答えが見つかりやすくなります。
TOEIC500点台の人は、このテクニックを使っても最後まで終わらせることは難しい可能性はあります。
しかし、1問でも多く答えることで、TOEICのスコアを500点から600点にすることができます。
詳しい方法は、TOEIC Part7 対策!時間内でスコアを上げる3つの秘訣の「3-2. Part7 解答の対策とコツ(その2)キーワードをチェック」をご覧ください。
5. まとめ
TOEICのスコアを500点から600点にするためには、基礎文法の見直しと語彙力の強化にしっかりと時間をかけ、同時に解答テクニックを身に着けることが大切です。
この3つのポイントの強化にしっかり取り組むことで、今まで越えられなかったTOEIC600点の壁を越えることが出来ます。
これらを身に着けるには少し時間を要しますが、それによって、600点越えのみならず、700点以上も見えてきます。
是非この記事に書かれた内容を参考に、TOEIC500点から600点を目指して頑張りましょう。